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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻3号

2016年03月発行

文献概要

症例報告

動的外力を軽減して改善した坐骨部褥瘡の2例

著者: 吉賀哲郎1 平島昌生1 平田雄三2

所属機関: 1独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院皮膚科 2独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院外科

ページ範囲:P.189 - P.194

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要約 症例1:74歳,男性.腰髄L1以下の脊髄損傷の既往がある.2012年4月より左坐骨部に褥瘡を認め,保存的に加療をされるが難治で,骨髄炎を併発し,当院に入院した.症例2:39歳,女性.胸髄Th10以下の脊髄損傷の既往がある.2012年6月より右坐骨部に褥瘡を認め,同部位の感染を繰り返していた.保存的に加療を継続したが難治であり,手術加療を目的に入院した.2症例とも治療に難渋したが,潰瘍を評価し,その性状から動的外力が増悪因子となっていると判断した.座位の動作や身体移動によって生じる動的外力を可能な限り除去することで著明な改善がみられた.褥瘡発生の第一の要因は過大な外力であるが,その外力は必ずしも重力による圧力だけでなく,動的外力も治癒を遷延させる原因として大切である.個々の症例で潰瘍の性状を評価し,動的外力の軽減を検討する必要がある.

参考文献

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10) Ohura T:WCET Journal 33:10, 2013
11) Ohura T, Ohura N Jr:WOUNDS 18:329, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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