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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻3号

2016年03月発行

文献概要

症例報告

水疱性類天疱瘡に発症した後天性血友病A—皮膚生検後の止血に難渋した1例

著者: 永島和貴1 山田朋子1 中村哲史1 牧伸樹1 中村考伸1 梅本尚可1 石井彰2 木村俊一3 出光俊郎1

所属機関: 1自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科 2自治医科大学附属さいたま医療センター総合診療科 3自治医科大学附属さいたま医療センター血液内科

ページ範囲:P.201 - P.206

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要約 80歳,男性.右頰粘膜の血腫および右膝部の難治性皮膚潰瘍により当科に紹介された.数か月前に皮膚に水疱が多発した病歴があり,水疱性類天疱瘡を疑い皮膚生検を施行し入院した.入院時の採血で活性部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)が75.2秒と延長しており,第Ⅷ因子活性の低下と第Ⅷ因子インヒビターの陽性化から後天性血友病Aと診断した.また,血中抗BP180NC16a抗体陽性,蛍光抗体直接法,間接法で基底膜部にIgGの沈着を認め,水疱形成の既往臨床像から,水疱性類天疱瘡に後天性血友病Aが合併したと診断した.生検数日後から同部位に著明な出血を認めた.血腫除去,再縫合を行ったが創部感染をきたし,出血コントロールに難渋した.自己免疫疾患に後天性血友病Aが合併することがあり,凝固系評価は必須である.自験例のようにAPTTの単独延長を認めた症例では後天性血友病Aを疑い,診断時は,病勢コントロールがつくまでは皮膚生検など外科的侵襲は禁忌である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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