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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻3号

2016年03月発行

文献概要

症例報告

歯肉粘膜びらんのみを呈した粘膜類天疱瘡の1例

著者: 藤田真文1 遠藤雄一郎1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 大日輝記1 椛島健治1 石井文人23 橋本隆23 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科 2久留米大学医学部皮膚科 3久留米大学皮膚細胞生物学研究所

ページ範囲:P.207 - P.212

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要約 80歳,女性.歯肉の難治性びらんを主訴に当科を受診した.全身の皮膚には水疱・紅斑はなかった.歯肉粘膜の生検組織病理像では,表皮下水疱を形成しており,蛍光抗体直接法では基底膜部にIgG,IgM,C3が線状に沈着していた.1M食塩水剝離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法ではIgGは表皮側に反応した.患者血清を用いた免疫ブロット法ではBP 180のNC16a部位に対するIgG抗体を検出した.粘膜類天疱瘡と診断し,プレドニゾロン20mg/日とミゾリビン40mg/日内服で粘膜びらんは改善した.難治性の口腔内びらん,潰瘍を認めたときは,積極的に粘膜類天疱瘡を含めた自己免疫性水疱症を鑑別することが勧められる.

参考文献

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11) 難波千佳,他:西日皮膚 73:581, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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