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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻3号

2016年03月発行

文献概要

症例報告

転移性結核膿瘍の2例

著者: 寺前彩子1 大霜智子1 石川世良2 大村崇2 宮成嘉3 鶴田大輔4

所属機関: 1浅香山病院皮膚科 2浅香山病院循環器内科 3浅香山病院整形外科 4大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.249 - P.254

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要約 症例1:88歳,女性.左下腿の発赤,腫脹に対し,蜂窩織炎の診断にて抗生剤を投与されていたが改善せず,その後,左足背に皮下膿瘍が出現した.膿および喀痰からMycobacterium tuberculosisが培養された.症例2:78歳,女性.左下腿に疼痛を伴う皮下腫瘤が出現したため受診となった.穿刺にて血性液が排出されたが再燃を繰り返すため,抗酸菌培養を提出したところ,皮下腫瘤穿刺液よりM. tuberculosisが培養された.その後,喀痰からもM. tuberculosisが培養された.2例ともに肺結核を認めたため,転移性結核膿瘍と診断した.高齢者および免疫不全の患者において皮膚結核は念頭に置くべき疾患であり,難治性の皮膚疾患を診た場合には抗酸菌検査を積極的に考慮すべきであると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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