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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻4号

2016年04月発行

今月の症例

好酸球増多を伴う若年性側頭動脈炎の1例

著者: 柴田夕夏12 石井賢太郎2 園田広弥2 高橋宏治2 大松華子2 中川秀己1 朝比奈昭彦12

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室 2国立病院機構相模原病院皮膚科

ページ範囲:P.278 - P.283

文献概要

要約 37歳,男性.2か月前から自覚症状を伴わない右額部の隆起が出現した.次第に左側も同様に隆起してきた.初診時,両側額部外側にわずかに拍動を触れる,弾性硬,太さ2mmの線状に蛇行する皮下硬結を触知した.超音波所見では血管壁肥厚とともに血流が亢進していた.病理組織学的所見では血管内腔の狭窄と血管内膜の線維性肥厚がみられ,血管壁および周囲の間質に全周性に高度の好酸球およびリンパ球浸潤がみられたが,多核巨細胞の浸潤はなかった.Elastica van Gieson染色では血管内弾性板の断裂を認めた.以上より好酸球増多を伴う若年性側頭動脈炎と診断し,自覚症状を認めないため経過観察とした.本症は予後の良い疾患とされているが統計学的検討はほとんどされておらず,また近年,巨細胞を伴わない側頭動脈炎に引き続き好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を発症した例も報告されているため,注意深い経過観察が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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