icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻4号

2016年04月発行

症例報告

ミノサイクリンが奏効した急性痘瘡状苔癬状粃糠疹の1例

著者: 高橋暁子1 西村みずき1 杉田美樹1 上嶋祐太1 川瀬正昭1 江藤隆史1

所属機関: 1東京逓信病院皮膚科

ページ範囲:P.289 - P.292

文献概要

要約 5歳,男児.初診の5か月前より,瘙痒を伴わない角化性紅色丘疹が出現し全身に拡大した.前医にて滴状乾癬の疑いでステロイドおよびビタミンD3軟膏外用に加え,シクロスポリンを投与されるも改善せず当院を受診した.初診時,顔面を含む全身に角化性紅色小丘疹と,淡い紅斑および色素沈着を多数認めた.全身状態は良好であった.皮膚生検病理組織像にて急性痘瘡状苔癬状粃糠疹と診断し,ミノサイクリン塩酸塩の内服およびタクロリムス軟膏外用開始後約1か月の経過で症状は著明に改善した.本症は数週〜数か月で自然治癒が期待される疾患であるが,臨床経過から考え,ミノサイクリンが奏効したと考えた.ミノサイクリンは抗菌作用以外に抗炎症効果を持つことで知られているが,8歳未満での内服は原則禁忌とされており,投与する場合は説明と同意はもちろん短期にとどめるべきである.

参考文献

1) 新見やよい,川名誠司:最新皮膚科学大系4,中山書店,p175, 2003
2) 寺田都子,他:昭和医会誌 61:626, 2001
3) 中島泰子,他:日小児皮会誌 31:25, 2012
4) 安部美穂,他:日皮会誌 122:2694, 2012
5) 早乙女敦子,他:日皮会誌 122:1205, 2012
6) 小泉明子,他:日皮会誌 121:2301, 2011
7) 永山博敏,他:皮膚病診療 33:63, 2011
8) 佐多賀英吏子,他:皮の科 7:126, 2008
9) 森岡竜彦,他:日皮会誌 117:310, 2007
10) 丸岡千晶,他:日皮会誌 115:1643, 2005
11) 小尾なつ穂,他:日皮会誌 111:1379, 2001
12) 石井美奈,他:日皮会誌 110:897, 2000
13) 行徳英一,他:皮膚臨床 40:1166, 1998
14) 安井宏夫,他:皮紀 93:161, 1998
15) 宮岡由規,他:皮膚臨床 37:1601, 1995
16) 名嘉真武男:皮膚病診療 6:171, 1984
17) Ersoy-Evans S, et al:J Am Acad Dermatol 56:209, 2007
18) Truhan AP, et al:J Am Acad Dermatol 15:66, 1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら