icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻4号

2016年04月発行

症例報告

頸部と下顎に生じた硬化性萎縮性苔癬の1例

著者: 大日方夏美1 山名やよい1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.293 - P.296

文献概要

要約 72歳,女性.5年前に右頸部の紅斑を自覚し,他院での皮膚生検で硬化性萎縮性苔癬と診断された.半年前より同様の紅斑が右下顎にも出現した.初診時,右頸部に10×15mm大の萎縮した淡紅色局面,右下顎に10×40mm大で細かい鱗屑を付す萎縮性の淡紅褐色局面あり.臨床的に硬化性萎縮性苔癬を考え,0.1%タクロリムス軟膏を2か月間外用したが改善なく,本人の強い希望で2か所とも切除した.病理組織像では両者とも,表皮は非薄化し,真皮上層は浮腫性で,表皮直下に一部裂隙形成を認めた.真皮上中層には稠密なリンパ球浸潤と膠原線維の均質化を一部に認めた.また汗孔や毛孔部の角栓形成もみられ,外陰部外硬化性萎縮性苔癬として典型像を呈した.切除8か月後の現在,再発,新生は認めない.硬化性萎縮性苔癬の治療はステロイド外用が一般的だが,難治例が多い.単純切除術も治療の1つの選択肢になると考えた.

参考文献

1) 田村敦志,石川 治:最新皮膚科学大系,10巻,1版,中山書店,p188, 2003
2) Marren P, et al:Br J Dermatol 132:197, 1995
3) 前田麗子,他:日皮会誌 121:2304, 2011
4) 宇佐美奈央,他:皮膚臨床 51:525, 2009
5) 田中亮多,他:皮膚病診療 34:163, 2012
6) 大西正純,他:臨皮 61:803, 2007
7) 小泉伸枝,他:西日皮膚 64:430, 2002
8) 中野敬一,他:日皮会誌 111:63, 2001
9) 桜井直樹,他:臨皮 59:1186, 2005
10) 三浦由宏,他:日皮会誌 118:1138, 2008
11) 石川真奈美,他:西日皮膚 70:457, 2008
12) 吉村仁志,他:日口外誌 52(Suppl):191, 2006
13) 大曲美也子,他:西日皮膚 64:259, 2002
14) 麻生和雄:日皮会誌 110:63, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら