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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻4号

2016年04月発行

症例報告

部分消退により特異な臨床像を呈した悪性黒色腫

著者: 松井彰伸1 金子高英1 櫻庭裕佑1 是川あゆ美1 赤坂英二郎1 滝吉典子1 六戸大樹1 会津隆幸1 中野創1 澤村大輔1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座

ページ範囲:P.331 - P.335

文献概要

要約 72歳,女性.初診の約20年前に右踵部に黒色斑が出現し,徐々に拡大した.数年前から黒色斑の中心部が隆起し,同時に結節周囲より黒色斑が消退しはじめた.初診時,右踵部に鶏眼様結節があり,その周囲は肉眼的健常皮膚が全周性に取り囲み,さらに外方に黒色斑が馬蹄形状にみられた.病理組織像では,結節部および黒色斑部に一致してS100蛋白,HMB-45およびmelan Aが陽性の腫瘍細胞の増生を認めたが,健常皮膚色部では認めず,悪性黒色腫の自然消退像に矛盾しない所見であった.また消退部と黒色斑部境界に早期の自然消退像がみられ,結節部周囲より自然消退現象が波及したと考えた.自然消退部は真皮に線維化があり,メラノファージやメラニン沈着はなかったが,臨床的に脱色素斑ではなく,健常皮膚色を呈していた.足底では生理的にメラニンが乏しいことや角層が厚いことなどが自然消退部と健常皮膚との色調に差異がない理由と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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