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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻4号

2016年04月発行

文献概要

症例報告

悪性黒色腫術後経過中,肺組織内に悪性黒色腫の転移と原発性肺癌を認めた1例

著者: 大浪宏介1 安島さやか1 岡村賢1 荒木勇太1 村田壱大1 山田真枝子1 島貫美和1 阿部優子1 紺野隆之1 鈴木民夫1

所属機関: 1山形大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.336 - P.340

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要約 77歳,男性.初診の約1年前より左踵に黒色腫瘍を認め,当科にて悪性黒色腫と診断された.腫瘍切除術およびリンパ節郭清術(腫瘍厚7mm,T4bN3M0 stage Ⅲc),術後にDAV-feron療法を6クール施行した.手術から1年4か月後,左鼠径部に皮膚転移が認められたため,全身CT検査を施行したところ肺に結節像が認められた.胸部外科にて病変を切除したところ,悪性黒色腫の転移と原発性肺癌の両方の病理組織像がみられた.2009〜2014年に当科で治療した悪性黒色腫患者のうち重複癌であった症例は9例で,消化器癌が最多であった.悪性黒色腫と肺癌の重複癌症例の本邦報告は自験例を含め14例であった.肺に結節を認めた際は,重複癌と転移性腫瘍の鑑別ならびに両者の併存例の存在も念頭に置きつつ検索を進めるべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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