summary
悪性黒色腫の病型分類は古くから臨床・病理組織学的特徴に基づいたClark分類が用いられてきた.この分類は生物学的意味があるとされていたが分子生物学的背景を考慮したものではなかった.進行期悪性黒色腫の治療はこの数年で大きな進歩を遂げている.免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬,主にBRAF阻害薬が承認され実際の診療で多く使われるようになり悪性黒色腫の治療は確実に変化している.その中で悪性黒色腫の病型分類においても遺伝子変異や分子異常に重きを置く分類が提唱されるようになった.進行期悪性黒色腫の治療法が劇的な変化を遂げて行く中でより効果的に治療薬を使用するために新規病型分類を用い治療の個別化を図ることが重要になると考える.
雑誌目次
臨床皮膚科70巻5号
2016年04月発行
雑誌目次
増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016
1.最近話題の皮膚疾患
悪性黒色腫の新たな分類
著者: 吉川周佐 , 清原祥夫
ページ範囲:P.10 - P.14
Calciphylaxisに対するチオ硫酸ナトリウム治療—総説と当院における有効症例
著者: 堀川弘登 , 舩越建 , 菱川彰人
ページ範囲:P.16 - P.20
summary
Calciphylaxisは小血管を中心とした全身の動脈壁の石灰化により,虚血性の皮膚皮下組織壊死をきたす原因不明で予後不良な難治性希少疾患である.Calciphylaxisの最新治療薬としてチオ硫酸ナトリウムの経静脈投与があり,既報告例や自験例からも効果的な治療であると考えられる.本治療は一般的には安全とされるが,時に重篤になりうるアニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスに対して注意する必要がある.定期的に血液ガスをモニターし,用量を調節することが安全使用のために重要である.本治療の有効性および安全性の検討のために,今後は前向き介入研究などの実施が望まれる.
Spitzenpigment(先端色素沈着症)
著者: 沼田貴史 , 原田和俊 , 梅林芳弘 , 相川洋介 , 坪井良治
ページ範囲:P.21 - P.24
summary
Spitzenpigment(先端色素沈着症)は,1923年Thomasによって健常小児の手指足趾末節の背面に左右対称性に認められる色素沈着として報告された.本邦では1926年に北村が詳細な検討を行っている.それによると,色素沈着は淡褐色から暗褐色で,第1指趾で最も濃く,第2〜4指趾ではやや薄くなり,第5指趾で最も薄くなる.色素沈着は2歳頃に最も顕著になり,5歳頃より退色する.成人に認められることもある.生理的な現象なので,特別な誘因がない場合には本症を考え,過度の検査や治療は行わず経過観察とする.
臓器移植患者の脂腺増殖症
著者: 望月珠江 , 福屋泰子 , 岩村麻貴 , 川島眞
ページ範囲:P.25 - P.28
summary
臓器移植患者では脂腺増殖症の有病率が健常人に比べて高いことが知られている.臓器移植患者にみられる本症は通常より若年で生じ,時に大型で,数も頭頸部だけで100個を超えるなど,加齢に伴う脂腺の過形成だけでは説明がつかない特異な臨床像を呈する.臓器移植後はシクロスポリンをはじめさまざまな免疫抑制剤が投与されるが,本症を生じた患者に共通して投与されている薬剤はシクロスポリンであり,その発症にはシクロスポリンの関与が示唆される.
Protein contact dermatitis(蛋白質接触皮膚炎)
著者: 横関博雄
ページ範囲:P.29 - P.32
summary
蛋白質抗原に対する接触皮膚炎(protein contact dermatitis,蛋白質接触皮膚炎)は職業性接触皮膚炎のカテゴリーで刺激皮膚炎,アレルギー性接触皮膚炎皮膚に次ぐ疾患として位置づけられている.蛋白質接触皮膚炎ではパッチテストかプリックテスト,スクラッチテストの検査およびプリックパッチテストが有用である.最も蛋白質接触皮膚炎の原因となるものは食品であるが動物のフケ,肉,ミルク,尿,花粉,ラテックスなども原因となることがある.蛋白質接触皮膚炎の臨床は他の接触皮膚炎と区別をすることが困難である.また手湿疹にしばしば蛋白質接触皮膚炎がみられる.接触蕁麻疹が次第にアレルギー性接触皮膚炎の症状に変わっていくのが特徴である.また,蛋白質抗原と接触する部位に限局し病変の境界が鮮明なのも重要な特徴の1つである.
2.皮膚疾患の病態
iSALT(inducible skin-associated lymphoid tissue)—皮膚における抗原提示の場の発見
著者: 夏秋洋平
ページ範囲:P.34 - P.38
summary
皮膚は常にさまざまな外的刺激に曝されており,生体防御の最前線として多彩な免疫応答が繰り広げられている.代表的疾患として接触皮膚炎があり,獲得免疫応答の古典的実験モデルとして盛んに研究が行われてきた.皮膚内抗原提示とT細胞の活性化は皮膚の獲得免疫応答における重要なステップであるが,その詳細なメカニズムは不明であった.われわれは接触皮膚炎マウスモデルに二光子励起顕微鏡によるライブイメージング解析を応用することで,外的刺激により血管周囲に真皮樹状細胞とT細胞がクラスターを形成することを見出し,この細胞クラスターが皮内におけるT細胞の効率的な活性化に不可欠であることを明らかにした.本稿では,接触皮膚炎の研究を通じて明らかになった皮膚内抗原提示とT細胞活性化のメカニズムについて概説する.
制御性T細胞の恒常性と皮膚
著者: 山崎小百合 , 森田明理
ページ範囲:P.39 - P.41
summary
マウスの末梢CD4+T細胞の約5〜10%が定常状態でCD25を発現しており,免疫学的自己寛容に重要な制御性T細胞である,と1995年に坂口志文先生らにより報告された.その後の世界中の多くのグループよりCD25+CD4+T細胞に抑制能力があることが再現され,現在では制御性T細胞は,自己免疫反応のみでなく,腫瘍免疫,移植免疫,アレルギー,感染に対する免疫反応,慢性炎症などさまざまな免疫反応を抑制していることが判明している.制御性T細胞は,マウスのみでなく,ヒトでも同様に存在し,さまざまな病態に関連している.筆者らは,最近,胸腺由来制御性T細胞が皮膚において紫外線にてその恒常性が維持されている可能性を示した.本稿では,皮膚における制御性T細胞の役割について最近の知見を中心に述べる.
乳児アトピー性皮膚炎における食物アレルギーの管理
著者: 竹井真理 , 海老澤元宏
ページ範囲:P.42 - P.46
summary
本邦において食物アレルギーの発症頻度は乳児期で約10%と最も高く,乳児のアトピー性皮膚炎に合併していることが多い.本邦では『食物アレルギーの診断の手引き』において乳児期のアトピー性皮膚炎の発症や悪化因子に食物アレルギーが関与している病型を「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」と定義している.乳児のアトピー性皮膚炎に対して,スキンケアやステロイド外用療法を行っても改善しない場合,または寛解・増悪を繰り返す場合には食物アレルギーの関与を考慮する.診断は問診やアレルギー検査などから疑わしい食物に対して食物除去試験を抗原ごとに行い,食生活の質が下がらないよう必要最小限の除去を行う必要がある.また診断が確定した後は漠然と除去を継続せず,定期的に耐性獲得の有無を確認することが重要である.
マイクロバイオーム(microbiome)
著者: 川崎洋 , 海老原全
ページ範囲:P.47 - P.52
summary
皮膚の表面には多種多様な微生物(細菌,真菌,ウイルス,原虫等)が存在しており,皮膚の部位や生育環境に応じて異なる微生物叢(微生物集団)を形成し,皮膚の機能維持に寄与している.近年,シークエンス技術の発展により,マイクロバイオーム(microbiome:微生物叢を構成する微生物種の集合ゲノム)を網羅的に解析することが可能となり,各皮膚疾患病態における微生物群の関与が急速に解き明かされつつある.病変部皮膚では,微生物種の構成異常(dysbiosis)が生じていることが各疾患で報告されるとともに,病態を正しく理解するためには菌種ごとの多様性を理解し菌株レベルの解析まで広げることが重要である.皮膚疾患とマイクロバイオームに関する研究はまだ始まったばかりだが,今後解明が進み,微生物群を標的とした新規治療法の開発や患者個々の微生物叢に適した個別化医療の実践につながることが期待される.
CHILD症候群の病態と治療
著者: 久保亮治
ページ範囲:P.53 - P.56
summary
CHILD(congenital hemidysplasia with ichthyosiform erythroderma and limb defects)症候群は,コレステロール生合成系の酵素をコードする
Superimposed linear psoriasis
著者: 今福信一
ページ範囲:P.57 - P.60
summary
ヒトのすべての細胞は同じゲノムに由来するという原則に反して,個体内に一部配列の違うゲノムを持った2種類の細胞が混在する状態をモザイクと称する.Superimposed linear psoriasis(SLP)はきわめて稀な乾癬の1亜型で,通常の乾癬に先行して発症する線状の角化性病変とされ,母斑などと同じモザイクの状態と考えられている.一般に単一遺伝子の異常でモザイクは説明されるが,Happleはsegmental mosaicism of polygenic skin disordersという概念を提唱し,多因子疾患でも,より発症しやすいゲノム変化を持ったモザイクがあれば,やがて発症する全身の乾癬に先んじて,部分的に乾癬を発症させる可能性があることを推定している.SLPは,通常小児期に発症して領域は不変で,治療に抵抗性で,治療で他の乾癬の部分が治癒しても残存することが多いとされる.モザイク病の概念と,SLPについて解説する.
3.新しい検査法と診断法
パッチテストパネル®(S)のメリットと使い方
著者: 関東裕美
ページ範囲:P.63 - P.68
summary
準備と費用の点で改良されたパッチテストパネル®(S)の有用性は高く,今後実施率が向上すると考えられる.結果の信頼性において,日本でも症例数を増やして従来アレルゲンを利用したFinn Chamber法との陽性率の比較検討をしていく必要がある.現在のところ金属アレルゲンの陽性反応が強く他施設からの集計をして検討したい.
全身性強皮症における爪郭部のダーモスコピー所見
著者: 長谷川稔
ページ範囲:P.70 - P.74
summary
2013年に提唱された全身性強皮症の新しい分類基準では,毛細血管顕微鏡検査またはダーモスコピーで確認される爪郭部の毛細血管異常が1つの項目として取り上げられた.これに伴って,全身性強皮症における爪郭部のダーモスコピー所見の観察が,より重用視されるようになってきた.爪郭部の毛細血管については,以前より毛細血管顕微鏡検査で詳細な検討がされてきており,特徴的なscleroderma patternがみられる場合には,強皮症の診断に有用である.更に毛細血管異常の程度によってearly,active,lateの3つのpatternに分けられ,血管障害の強い症例ではlate patternを呈する.ダーモスコピーではまだ観察方法が確立されていないが,ある程度毛細血管顕微鏡検査と似た所見を確認でき,その内容に関して解説した.
痂皮を用いたウイルス感染症の診断
著者: 三宅智子 , 山本剛伸 , 平井陽至 , 岩月啓氏
ページ範囲:P.75 - P.78
summary
ヘルペス様水疱を認める疾患には単純疱疹,帯状疱疹,日常診療では稀であるが種痘様水疱症が挙げられる.これらの疾患を診断するためには,TzanckテストやEBER(Epstein-Barr virus encoded RNA)
Kaposi水痘様発疹症の問題点を考える—重症度の把握と治療について
著者: 渡辺大輔
ページ範囲:P.79 - P.83
summary
Kaposi水痘様発疹症(Kaposi's varicelliform eruption:KVE)はアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)をはじめとした基礎皮膚病変を持つ患者にみられる,急性,播種性の単純ヘルペスウイルス感染症である.KVEの重症度は,①皮疹の部位および面積,②全身症状および合併症の有無,③二次感染の有無で規定されると考えられる.KVEの治療薬の基本は抗ヘルペスウイルス薬の全身投与となるが,重症度や症状に応じて使い分けが必要であり,皮疹範囲が広い場合や,全身症状,ウイルス血症が疑われる重症例では入院の上で,アシクロビルの点滴を行う.細菌の二次感染は基本的には抗菌薬の全身投与にて治療し,場合によっては外用抗菌薬を用いて治療する.基礎疾患となるADの治療は,KVE病変部を避けて行うほうが良い.また,普段からADのコントロールをしておくことがKVE発症のリスクを低減させる可能性があると考えられる.
乾癬性関節炎の質問票
著者: 梅澤慶紀 , 中川秀己
ページ範囲:P.85 - P.90
summary
乾癬性関節炎(psoriatic arthritis:PsA)は乾癬患者の10〜15%程度に合併し,QOLは著しく低下する.早期診断・早期治療の必要性は認知されているものの,PsAの確定診断,重症度評価,活動性の評価が困難な場合も少なくない.診断・精査のためには,PsAに特徴的な臨床症状に加え,血液検査X線,MRI検査,などを行う.しかしながら,PsAではこれらの諸検査で異常所見を認めない場合もあることから,診断・活動性評価などに質問票を活用することは非常に有用である.PsAの質問票は種々存在するが,本稿では,「症状」と「機能」の2つの評価ができ,PsAの診断にも応用できるPASE(Psoriatic Arthritis Screening and Evaluation Tool),強直性脊椎炎を中心とした脊椎関節炎の疾患活動性評価として汎用されているBASDAI(Bath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Index),身体的障害の程度に関する評価法であるHAQ(Health Assessment Questionnaire)を紹介する.
4.皮膚疾患治療のポイント
尋常性痤瘡治療ガイドラインの変更点
著者: 林伸和
ページ範囲:P.93 - P.95
summary
最初の尋常性痤瘡治療ガイドラインができてから8年が経過した.その間にエビデンスに基づく治療が周知され,面皰あるいは微小面皰に対する治療は定着してきた.今回の改訂では,新たに承認された薬剤等と日本で新たに得られたエビデンスを含めている.改訂ガイドラインの特徴は,治療時期を急性炎症期と維持期に分け,急性炎症期には併用療法を主体とする積極的な治療を勧め,維持期には長期の臨床試験により安全性と再発予防効果が確立している耐性菌の懸念のない治療を推奨している点である.また,保険が適用されない治療は,適用のある治療に勝るエビデンスがなければ,推奨度C1(選択肢の1つ)としている.その結果,アゼライン酸とケミカルピーリングの一部では無作為化比較試験があるが,選択肢の1つとなっている.また,副作用の観点からミノサイクリンの推奨度が下がっている.本稿を通じて改訂ガイドラインの理解を深めていただきたい.
尋常性痤瘡における抗菌外用剤の使い方
著者: 黒川一郎
ページ範囲:P.96 - P.99
summary
尋常性痤瘡は感染症ではないが,にきび桿菌(
男性型脱毛症の新しい治療
著者: 大山学
ページ範囲:P.100 - P.103
summary
男性型脱毛症の病態の最大の特徴は男性ホルモンの影響により毛周期が短縮する結果生じる毛包のミニチュア化である.内服,外用に加え自家植毛などの治療法の選択肢があるが,内服薬としてテストステロンを活性の強いデヒドロテストステロンに変換する5α還元酵素のうちⅡ型を特異的に阻害するフィナステリドが現在主として用いられている.Ⅰ型,Ⅱ型両方の5α還元酵素を阻害するデュタステリドが内服薬として承認され今後使用が拡がると予想される.有効性が期待される一方,副作用に対する評価はいまだ一定しておらず具体的な使い分け方を議論するにはまだ時期尚早と言える.
爪白癬治療における外用薬の位置づけ
著者: 楠原正洋
ページ範囲:P.104 - P.109
summary
爪白癬の治療は,これまでテルビナフィン連続内服療法とイトラコナゾールパルス療法の2種の内服療法のみであったが,新たにエフィナコナゾールの外用療法が加わった.どの治療を選択するかは各治療の有効性や患者の持つ医学的条件などを考慮して決定する必要があるが,外用療法は基本的にどの患者にも適応できるため,内服療法ができない患者,内服療法を希望しない患者は必然的に外用療法となる.鏡検による確実な診断を行ったうえで治療を開始するが,治療の効果判定は記録した写真やスケッチをもとに客観的に判断する.数か月では効果がみられないこともあり,1年以上の治療期間が必要な場合もある.くさび型混濁など内服治療に抵抗性の病型にも奏効する場合があり,今後内服療法とは異なる適応が見出される可能性もある.次の爪白癬外用治療薬も承認され,今後爪白癬の外用療法の割合は増えると予想される.
全身性強皮症の指尖潰瘍に対するボセンタン療法
著者: 渡辺玲 , 藤本学
ページ範囲:P.110 - P.112
summary
全身性強皮症の病態として自己免疫,線維化,血管障害が挙げられる.指尖潰瘍は全身性強皮症患者において頻度の高い(35〜60%)血管障害による合併症であり,全身性強皮症発症早期から生じうる上,難治例,再発例が多く患者のADL,QOLの低下に直結する.一方,全身性強皮症とエンドセリンの関係は1990年代より報告があり,特に肺高血圧症や強皮症腎クリーゼの症例で血漿中エンドセリンが高値となることから,同じ血管障害である指尖潰瘍においてもエンドセリンの関与が想定されてきた.エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは肺動脈性肺高血圧に対して本邦でも使用されており,欧米での二度の良質な無作為化二重盲検試験を経て,本邦でも2015年に全身性強皮症の指尖潰瘍新規発症抑制目的として承認された.本稿では,エンドセリンの全身性強皮症病態における役割,ボセンタンの作用機序,無作為化二重盲検試験の結果を概説する.
抗IL-17抗体による乾癬治療
著者: 多田弥生
ページ範囲:P.113 - P.116
summary
これまで乾癬に対する生物学的製剤としては,TNF-α阻害剤(インフリキシマブ,アダリムマブ),IL-12/23p40阻害剤(ウステキヌマブ)があったが,2014年12月にIL-17A阻害剤のセクキヌマブが発売され,2016年1月現在,尋常性乾癬,関節症性乾癬に加えて膿疱性乾癬にも保険適応がある.その効果は乾癬の皮疹に対して効果発現がウステキヌマブとの直接比較において早く,また,PASI75,90,100の達成率は,数値だけ見ると,既存生物学的製剤のどの治験の評価時期よりも早い12週の段階で,より高い値を出している.関節症性乾癬に対する国内外での推奨度は,これまでのところ,TNF-α阻害剤に次ぐ第2選択である.安全性においては,粘膜カンジダ症,好中球減少,Crohn病の増悪,新規発症について注意が必要な薬剤である.
癌性悪臭に対するメトロニダゾール外用薬
著者: 竹之内辰也
ページ範囲:P.119 - P.123
summary
切除不能となった原発性もしくは転移性の皮膚癌は増大とともに自潰し,出血,滲出液,痛み,においなどの不快な症状を引き起こす.なかでも癌性悪臭の存在は患者自身のQOL低下のみならず,家族や知人を遠ざけてしまう原因にもなり,精神的な苦痛が甚大である.悪臭の発生機序は癌組織の壊死およびそこで繁殖する嫌気性菌感染が主因とされる.これまで癌性悪臭に対して正式に適用された医薬品は存在しなかったために施設毎の工夫でメトロニダゾールなどを抗菌外用薬として院内調剤していたが,2014年12月に国内初の「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」を効能・効果としたロゼックス®ゲル0.75%が承認された.悪臭対策を含めた癌性皮膚潰瘍における適切な局所ケア指導は,癌治療に携わる皮膚科医にとって重要な役割の1つである.
BRAF阻害薬を用いた悪性黒色腫療法とその副作用対策
著者: 大塚正樹
ページ範囲:P.125 - P.130
summary
BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に対して本邦で2014年12月にBRAF阻害薬ベムラフェニブ(vemurafenib)が承認された.ベムラフェニブはダカルバジン(dacarbazine:DTIC)との比較において全生存期間,無増悪生存期間,奏効率のすべてで上回った薬剤であり,進行期悪性黒色腫に対する治療を改善させた.しかし,ベムラフェニブの問題点として,BRAF遺伝子変異を有する症例のみが適応となるため,白人と比較してBRAF遺伝子変異の割合が少ない日本人にとって適応症例は限られてしまう.また,BRAF遺伝子変異症例に対して投与された場合は高い奏効率,速やかな効果を示すものの,ほぼ必発と考える副作用や薬剤耐性獲得の問題も生じてくる.今後,より安全で効果的な薬剤投与のためには,副作用に対する対策はもちろんのこと,免疫チェックポイント阻害薬との使い分け,さらに現時点で本邦未承認であるMEK阻害薬との併用など,より効果的な薬剤投与方法の確立が望まれる.
免疫チェックポイント療法とその副作用対策
著者: 山﨑直也
ページ範囲:P.131 - P.136
summary
近年新しい免疫療法薬の開発が盛んに行われ成果を上げている.なかでも抗CTLA-4抗体イピリムマブや抗PD-1抗体ニボルマブ,ペンブロリズマブに代表される免疫チェックポイント阻害薬の登場による治療効果に対するインパクトと予後の改善はめざましいものがある.悪性黒色腫に対し,これらの「過剰な免疫反応を制御する分子に対する抗体」を用いることで免疫反応が誘導・増強されることが明らかとなり,がん免疫療法全体が急速に進歩している.特にニボルマブが2014年7月に世界で初めて日本で悪性黒色腫に対する新治療薬として承認されたことは画期的な出来事であった.一方で免疫に関連する副作用として,下痢・腸炎,肝機能障害,皮膚障害,内分泌異常,間質性肺炎,重症筋無力症,糖尿病などが知られており死亡例も報告されていることから,過度の免疫反応に起因する副作用には十分な注意と症状マネジメントが必要である.
分子標的薬による皮膚障害の診療の手引き
著者: 山本有紀
ページ範囲:P.137 - P.140
summary
近年の癌薬物治療において皮膚障害が特に問題となるEGFR阻害薬と,マルチキナーゼ阻害薬による皮膚障害とその対策について当院での治療経験をもとに解説した.癌治療が安全に,また,患者のコンプライアンスを保ちながら継続するためには,皮膚科医の分子標的薬に関する知識と慎重な対応が鍵になる.今後,皮膚障害の機序の解明,また,チーム医療の確立など多くの課題は残されているが,皮膚科医の技能を試される分野になりつつあると実感している.
5.皮膚科医のための臨床トピックス
2017年度から始まる新しい専門医制度
著者: 石河晃
ページ範囲:P.142 - P.144
summary
2017年より日本専門医機構による新専門医制度が開始される.新しい制度では基幹研修施設が作成する研修プログラムにそって研修が進められる.研修プログラムには研修体制,診療実績,募集定員,施設群における研修分担,年次ごとの研修内容,週間予定を含む研修方法,各年度の目標などを記載する.指導医は専攻医の評価を毎年記録することとなる.一方すでに学会認定専門医を持っている人は2017年の更新予定者が学会認定専門医資格を更新した後,新制度の更新単位取得を開始し,次回更新時に機構認定専門医に移行する.2018年以降の更新予定者も同様である.更新単位は現行制度とはかなり異なるものとなる.移行期間はしばらく両制度が併走することとなるため皮膚科学会ホームページを参照して各自の立場をしっかり把握していただきたい.
皮膚科領域の指定難病について
著者: 岩月啓氏
ページ範囲:P.146 - P.147
summary
これまでの特定疾患治療対象疾患に,新たな疾病を加えて合計306疾病が指定難病として認定された.また,小児慢性特定疾病と指定難病の整合性をとり,シームレスな移行を可能にすべく,診断基準と重症度基準が作成され,診療ガイドラインの整備が進められてきた.皮膚科領域の指定難病の概要について解説する.
新しくなった「小児慢性特定疾病」制度
著者: 新関寛徳
ページ範囲:P.148 - P.150
summary
小児慢性特定疾病助成制度とは,小児期に発症し,慢性的な経過をとり,長期にわたり治療が必要で,医療費の負担が高額となる疾患に医療費助成を行う制度である.2014年12月までに,対象疾患は514疾患で11疾患群に分類されていた.助成対象疾患が大幅に見直され2015年1月より704疾病14疾患群となった.皮膚科領域では第14疾患群「皮膚疾患群」が新設された.新制度に新しく加わったのは「膿疱性乾癬(汎発型)」,「レックリングハウゼン(Recklinghausen)病(神経線維腫症Ⅰ型)」の2疾患,助成対象が拡大されたのが「先天性魚鱗癬」,「表皮水疱症」の2疾患,旧制度から移行したのが「先天性白皮症」,「色素性乾皮症」の2疾患である.医療費助成の申請の際に提出する医療意見書は,小児慢性特定疾病指定医が記載しなければならない.医療費助成に呼応して移行期支援の取り組みも始まっている.
酒皶の治療ガイドラインと展望
著者: 山﨑研志
ページ範囲:P.152 - P.154
summary
2016年前半に公表される尋常性痤瘡治療ガイドラインには,酒皶関連の項目が記載されている.その中では,酒皶に対する外用療法,内服療法,レーザー治療・光線療法,そしてスキンケアの4項目にわたっての検証を行った.海外での酒皶治療の報告やエビデンスから鑑みると,推奨度をAとすべき外用療法や内服療法も存在する.しかしながら,日本保険診療制度下では酒皶に対する適用が承認されていないために,海外で推奨されている治療方法も今回のガイドラインでは,推奨度がC2にとどまっている.今後,これらの治療方法が適切に日本での保険診療適用治療法として導入され,エビデンスレベルに基づいたガイドラインでの推奨度が設定できることを期待したい.
疣贅の英国治療ガイドライン
著者: 村尾和俊
ページ範囲:P.155 - P.157
summary
英国では,2014年に疣贅治療のガイドラインが発表された.疣贅にはさまざまな治療が行われているものの,有効性を示すエビデンスレベルの高い研究は多くはない.英国のガイドラインでは,最も推奨される疣贅治療はサリチル酸製剤であり,次いで凍結療法となっている.そして,これらが無効ならブレオマイシン局注や接触免疫療法,5-フルオロウラシルクリームなどを考慮する,ということになる.本稿では,この英国における疣贅治療のガイドラインについて概説した.
クラゲと納豆アレルギー
著者: 猪又直子
ページ範囲:P.158 - P.160
summary
納豆アレルギーは,IgE介在性アレルギーにかかわらず,摂取後約半日経ってから発症し,その多くが全身症状に発展する遅発性アナフィラキシー(late-onset anaphylaxis)の臨床型をとる.興味深いことに,患者の多く(約8割)はサーフィンやダイビングなどのマリン・スポーツ愛好家であり,納豆の主要アレルゲンであるポリガンマグルタミン酸(PGA)はクラゲの触手でも産生されることから,感作機序として「クラゲ刺傷による経皮感作」の可能性を疑っている.これまで「遅発性アナフィラキシー」という臨床型ゆえに,本症の診断は難しかったが,マリン・スポーツ歴の聴取は診断に繋がる有力な手がかりになるものと期待される.
筋弛緩薬によるアナフィラキシー
著者: 益田浩司
ページ範囲:P.161 - P.163
summary
筋弛緩薬は,周術期における薬剤性アナフィラキシーの原因薬として最も多く,次いでラテックス,抗生物質といわれている.筋弛緩薬は国内においては脱分極性のスキサメトニウム,非脱分極性のベクロニウム,ロクロニウムが使用可能である.いずれの薬剤においてもアナフィラキシーの原因として共通構造である第4級アンモニウム構造の関与が示唆されている.第4級アンモニウムは界面活性剤として歯磨き粉,洗剤,シャンプー,リンス,マニキュア,鎮咳薬など,日常生活で使用される多くの物質に含まれており,これらで感作され,初めて投与された筋弛緩薬でもアナフィラキシーを起こす可能性がある.検査としては,発症から6週間以上空けてプリックテスト,皮内テストが通常行われるが,直接的な血管拡張作用もあるため希釈濃度に注意が必要である.
スギ花粉症の舌下免疫療法
著者: 大久保公裕
ページ範囲:P.164 - P.166
summary
アレルギー性疾患に対するアレルゲン免疫療法は,1991年のNoon L.の報告以来100年を超える治療経験がある.しかしアレルゲン免疫療法をより有効に,より安全に,より短期間で施行するための方法が模索され,舌下免疫療法が最も実用化が近い方法となった.国際的には花粉症だけでなくダニアレルギーの治療にも使用でき,成人のみならず小児に対する安全性も確立され,高い有効性が報告されている.現在スギ花粉症に対する舌下免疫療法のいくつかの臨床試験が行われ,局所の違和感,腫脹以外の副作用はなく,皮下免疫療法より安全であることが確認された.有効性は,プラセボより症状スコアを有意に減少させ,薬物使用量も減少させた.また花粉症季節中のQOLの悪化を軽減する治療法であることが確かめられた.今後の一般臨床での治療に期待したい.
乾癬性関節炎の超音波検査
著者: 森田明理
ページ範囲:P.167 - P.169
summary
乾癬性関節炎の早期診断や病勢・予後予測のバイオマーカーとして確立したものはなく,末梢関節では超音波検査,体軸関節ではMRI検査が早期発見に役立つ可能性がある.乾癬性関節炎の画像診断は,単純X線写真,MRI,骨シンチグラムなど種々行われているが,これらの検査にはそれぞれ有用性と課題を有する.関節超音波検査のスコアリングには,グレースケールスコア・パワードプラスコアがあり,最近,早期発見,関節損傷の予測が検討された.関節超音波検査による早期発見(無症候性関節炎)につながること,さらに理学的所見としての関節の腫脹のみならず,関節超音波検査によるグレースケールスコア・パワードプラスコアが,関節損傷の予測に重要であることが示唆された.
悪性黒色腫のセンチネルリンパ節生検の意義—MSLT-Iの最終結果
著者: 林宏一 , 宇原久
ページ範囲:P.170 - P.172
summary
2014年,悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SNB)の有用性を評価するための国際的な臨床試験Multicenter Selective Lymphadenectomy Trial(MSLT)-Ⅰの最終結果が報告された.腫瘍の厚さが1.2〜3.5mmあるいは>3.5mmで臨床的に転移のない症例に対してSNBを行い,転移が認められた場合に直ちにリンパ節郭清を行う群と,SNBを行わずに経過を観察し,臨床的に転移が明らかになった時点で郭清を行う群を比較した.SNB群と経過観察群の間に10年疾患特異的生存率の差は確認できなかった.一方,10年無再発生存率はSNB群が勝っていた.また1.2〜3.5mmの群に限れば,SNB群は10年無遠隔転移生存率と疾患特異的生存率において経過観察群に勝っていた.また本試験で,センチネルリンパ節における転移の有無は重要な予後因子であることが確認された.しかし,この結果については疾患特異的生存率に差がなかったこととSNB後の根治的郭清によるリンパ浮腫の問題からSNBの意義について疑問を呈する意見もある.SNBの治療的な意義についてはもう少し検証が必要と思われる.
「光老化」啓発プロジェクトについて
著者: 川島眞 , 川田暁 , 錦織千佳子 , 森田明理 , 宮地良樹
ページ範囲:P.173 - P.175
summary
皮膚科医にとっては,太陽光線により老徴が出現し,さらには皮膚癌の発生につながること,そしてそれを光老化と呼称することには共通の認識がある.また,サンスクリーン剤を長期にわたって使用することにより光老化が予防できることも常識である.しかし,本邦においてサンスクリーン剤の効能表現として許可されているのは,「日やけを防ぐ」「日やけによるしみ,そばかすを防ぐ」の2つのみであり,サンスクリーン剤の効果の一部にすぎない.その理由の1つに,光老化の言葉そのものの一般への浸透が低いことが挙げられ,事実,最近の調査でも4.2%の国民が理解しているのみであった.そこで,まずは光老化の認識を高めるための啓発活動を行う必要があると考え,光生物学に造詣の深い皮膚科医が集まり,2016年春をスタートに啓発プロジェクトを展開することとした.多くの皮膚科医の参画を得て国レベルの活動とし,光老化対策を通じて国民の健康に貢献したい.
Derm.2016
悪性黒色腫の治療—新たな時代の幕開け
著者: 藤村卓
ページ範囲:P.15 - P.15
2000年より悪性黒色腫に対する免疫療法の確立を目指し,基礎と臨床の間を往復し続けてきたが,2014年についにその夢の一角が現れた.もう皆様ご承知の抗PD-1抗体をはじめとする免疫チェックポイント阻害薬および分子標的薬である.それまで長い年月,IFN-βを中心としたさまざまな補助療法を組み合わせた免疫療法で何とか腫瘍内への免疫細胞を呼び込む手法を検証してきたが,免疫チェックポイント阻害薬の出現のおかげで,思わぬ形でこれら基礎研究が臨床の役に立ちそうである.本当に不思議な巡りあいである.
これまでに私が関わってきた基礎研究は,腫瘍特異的Th1を効率よく誘導する方法の開発から始まり,黒色腫腫瘍内浸潤リンパ球を賦活する方法の開発,IFN-β強化療法の開発など,腫瘍を特異的に殺傷する免疫細胞の誘導法および腫瘍内へのエフェクター細胞を効率よく導入する方法の開発であった.そして2007年に留学先で抑制型免疫担当細胞である腫瘍随伴性マクロファージとPD-L1に出会うことができ,改めて黒色腫治療における免疫の重要性を再認識した.考えてみれば,悪性腫瘍は常に環境に応じて耐性を獲得し進化し続けるが,ヒトのT細胞受容体のvariationは,それを上回るものである.あとは,この免疫細胞をどれだけ腫瘍に効率よく作用させるかが,今も昔も最大の命題であった.その答えの1つが,免疫チェックポイントなのかもしれない.
癌免疫療法の急速な拡大に際して
著者: 内博史
ページ範囲:P.20 - P.20
2014年に登場したニボルマブにより,根治切除不能な悪性黒色腫の治療は大きな変革を遂げました.販売開始から1年半が経過し,すでに1,000例以上の症例に投与されています.治験の結果では奏効率は決して高いとは言えませんが,実臨床で使用していて確かに患者さんの生存期間が延長している手応えがあります.一方で,免疫抑制性分子であるPD-1をブロックするニボルマブは,さまざまな自己免疫性の有害事象を引き起こします.そのあと承認されたイピリムマブもCTLA-4の抗体であるため,同様の副作用の原因となります.いかに早く有害事象を見つけ,適切に対処するかが,免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるこれらの薬剤を使いこなすポイントと思います.
さて昨年末にニボルマブの適応が非小細胞肺癌にも拡大しました.今後,腎癌や頭頸部癌など次々に適応拡大が予想されています.第4の癌治療と呼ばれていた免疫療法が,標準治療に加わる時代がすぐそこまで来ています.一方,悪性黒色腫に比べて圧倒的に症例数が多い癌腫に対してニボルマブが使用されていくなかで,悪性黒色腫では発生していない未知の有害事象も次々に報告されていくかもしれません.これからは免疫チェックポイント阻害薬を用いた癌治療を行う各科に加えて,呼吸器内科,消化器内科,内分泌内科など,副作用のマネージメントで協力をお願いする各科とネットワークを組み,情報を共有していくことが重要と思います.皮膚科は複数の免疫チェックポイント阻害薬の使用経験があり,また薬疹のマネージメントのできる科でもあります.皮膚科からも積極的に情報提供を行い,癌免疫療法の急速な発展の波の中で埋没しないようにしなければと思います.
皮膚悪性腫瘍診療で思うこと
著者: 緒方大
ページ範囲:P.38 - P.38
「稀少な疾患だからこそ,疾患の特徴を理解している者が診断をつけて治療から経過観察までを行うことに意味がある」この言葉を骨軟部腫瘍科で研修していた折に指導医から聞いた私は,皮膚悪性腫瘍診療にも同じ言葉が当てはまると考え,そこにやりがいを持って今まで日々の診療・研鑽にあたってきた.それから数年が経ち,さまざまな症例を経験して,チーム医療を行う姿勢は身についたものの,今現在でも冒頭の言葉は自分の頭の中に強く刻まれている.
一方で海外の学会や施設見学に行くと欧州でも米国でも,縦割りの分業が当たり前であることを目の当たりにする.皮膚科医は診断をつけるまでが役割で,手技は生検程度.手術は一般外科,形成外科医が受け持ち,薬物治療は腫瘍内科医が受け持つ.当然カンファレンスでディスカッションは行われるが,悪性黒色腫の場合,皮膚科医はstage Ⅰ,Ⅱまでしか診ることはないし,腫瘍内科医は進行したstage Ⅲ,Ⅳを相手にする.といった具合だ.対象とする患者数が違うため診療システムが異なるのは当然だが,日本でもがん診療が細分化されていく流れは徐々に当たり前になってきている.
臨床医は実験をするべきか
著者: 平郡隆明
ページ範囲:P.52 - P.52
平成7年(1995年)に皮膚科医になり,今年で22年目になる.さして大きな業績もないが,入局して以来細々と実験を続けており,民間病院に在籍していた期間もときどき大学に戻って実験をしていた.先輩方が次々開業していくなかで自分の立場も変わり,診療,講演の準備,論文の添削,総説の執筆,査読,等々で忙殺され,自分の手を動かして実験をする時間が極端に短くなったのが非常に残念である.2015年に皮膚科医局が移転するにあたり,新しい研究室をデザインしたのは私なので,自分用のベンチをまだ確保しているが,そろそろ若い人に譲るべきなのかとも考える.
さて,広島大学では平成24年(2012年)度から医学研究実習というカリキュラムが始まった.医学部の4年生が約4か月もの間,授業や試験は一切なく,基礎医学や臨床医学の各講座で毎日研究三昧の生活を送る.二十歳そこそこの学生はみな理解が早く,実験も上手く,ほかにすることもないのでどんどん研究が進む.実習の最後にポスター発表を行うが,どれも学会で発表しても恥ずかしくない内容に仕上がる.一方,現在の医師臨床研修制度では,国家試験に合格してから初期研修が2年間,入局後の数年間を一般病院で臨床医として過ごすことが多いので,大学院に入学するのは30歳前後になる.年を取った分,彼らは理解が遅く,実験も下手で,さらに社会人大学院生の場合は病院の業務や外勤で追われて実験する時間はあまりない.どこかの偉い先生が言っていたように,医者に実験をさせても無駄で,テクニシャンにまかせておけばいいのかもしれない.しかし,臨床医学と基礎医学の狭間に一度でも身を置くと,基礎医学の世界の先端で何が行われているのか垣間見ることができる.広島大学の医学研究実習によって,少なからず研究マインドを培われた若い彼らが皮膚科に入局し,研究の世界でも活躍することを願いたい.臨床医も一度は実験をするべきではないか,と思う.
皮膚アレルギー診療に従事して/めざせ「スーパープレゼンテーション」
著者: 大迫順子 , 木庭幸子
ページ範囲:P.69 - P.69
皮膚科で診療するアレルギー疾患は,接触皮膚炎,接触蕁麻疹,薬疹,食物アレルギーなど多彩です.問診と症状より原因を推察し,皮膚テストなどを施行し原因アレルゲンを同定できた場合は再発予防ができるので,やりがいを感じています.
最初に経験した症例は3種類の口紅の接触皮膚炎の方でした.すべての成分を取り寄せると50種類以上にもなりました.成分パッチテストの結果,2種類の成分が陽性となり,原因アレルゲンを同定し,再発予防の指導をすることができました.化粧品には多数の成分が使用されていること,異なった商品でも共通の成分を含むことを学びました.
KOH直接鏡検法
著者: 竹田公信
ページ範囲:P.74 - P.74
最近,足白癬や爪白癬と診断された約246万人の実態調査結果(岩永知幸,他:日皮会誌 125:2289, 2015)が報告され,それによれば,初診時の直接鏡検法(以下,KOH法)の実施率が59%であったことがわかった.この事実は誤診のリスクはもちろんのこと,感染症という概念からみても決してよいことではなく,今回これを機に改めてKOH法について考えてみた.
KOH法は行わないと体験できないことがたくさんある.皮膚科の日常診療において,「体の皮疹は湿疹に見えますが,一応カビ菌の検査もしておきますね」と話しながら結果は陽性であることはたまにある.こちらはほっとする瞬間であるが,患者さんにとっては複雑な場面でもある.しかし,結果的に患者さんには接触皮膚炎を生じさせない限り迷惑をかけることはなく,症状を改善へと導くことができる.また,一般に皮膚の浸軟部や白濁した爪の先端部などは陽性率が低いといわれてきたが,実際に行ってみると意外に陽性が多いことに気づかされる.ほかに,アトピー性皮膚炎などの湿疹性病変,水疱性類天疱瘡や尋常性乾癬などの皮疹に紛れて存在する何か違和感のある皮疹からKOH法で菌糸を見つけたときの感動は皮膚科医のみ味わうことができる特権である.更に,行ったKOH法の結果から,常日頃から先入観を持たず診察にあたることへの戒めにもなる.
レーザー治療と治療抵抗症例
著者: 遠藤英樹
ページ範囲:P.90 - P.90
皮膚科におけるレーザー治療は年々進歩してきている.入局してからレーザー治療を専門とし,今日まで約20年間大学病院でレーザー診療に携わってきた.主に色素性疾患に対するQスイッチレーザーと血管病変に対する色素レーザーの治療を中心に行ってきた.ただ,疾患によって有効例がある反面,無効例も度々経験する.
保険適応になっている扁平母斑は,近隣の病院やクリニックから「消せるかもしれないから一度レーザーをしてみては」と勧められ,レーザー治療目的で多くの紹介を受けるが,実際に治療開始するとレーザー治療に抵抗するケースが多い.扁平母斑は「茶アザ」とも呼ばれる茶褐色の色素斑で,素人目から見てレーザーで簡単に消せそうに見えるが,満足の得られるくらいきれいに改善するのは少数である.レーザー照射後,①いったんきれいに消失するが6〜12か月で再発するケース,②炎症後色素沈着を起こし濃くなり,元の色調から薄くならないケース,③脱色素斑気味になった後,毛孔一致性に色素が出てくるケースとさまざまな結果になる.
皮膚科医になって
著者: 宇野裕和
ページ範囲:P.99 - P.99
昭和大学皮膚科に入局してから早いもので15年が経とうとしている.大学や外勤先で外来を任されるようになると,患者に対してそれぞれ起こっている病態を説明できるようになりたいと思い,なるべくこだわるようにした.
診断をつけ,病気の説明をし,必要な検査,処方をする.外用,内服の仕方,治る見込みの説明.患者それぞれにそれまでの経緯があり,それも踏まえた説明も必要になる.肉眼的に見えている現症だけでなく,組織学的にどのような変化が起こっているかを説明に加えられればなお良い.それをスムーズにやれるようになるには,それぞれの疾患に対して他方面からの深い理解ができてないとなかなか難しい.
皮膚科医による下肢静脈瘤の治療
著者: 前川武雄
ページ範囲:P.116 - P.116
下肢静脈瘤の治療の歴史は長く,古くは古代ローマ時代からその記録が残っています.現在でも行われている高位結紮術やストリッピング術は,100年以上の歴史を持つ治療で,長い間下肢静脈瘤治療の標準術式として施行されてきました.その長い歴史が2000年頃に登場した血管内治療機器により大きな転換期を迎えています.欧米ではすでに下肢静脈瘤治療の90%以上が血管内治療で行われるようになり,本邦においても2011年に波長980nmのELVeS®レーザーが保険認可され,2014年には波長1,470nmのELVeS®レーザー1470とラジオ波(高周波)治療機器VenefitTMが加わり,下肢静脈瘤の治療の主体は従来の手術治療から血管内治療に移行しつつあります.
血管内治療機器の登場後,メディア等で下肢静脈瘤治療の啓蒙活動が行われたこともあり,下肢静脈瘤の治療目的に病院を受診される患者が飛躍的に増えています.従来,下肢静脈瘤の治療を行う診療科は,血管外科が圧倒的に多く,皮膚科で行っている施設は非常に少ない現状がありました.しかしながら,受診患者数の増加により,うっ滞性皮膚炎や静脈性下腿潰瘍を日常診療しているわれわれ皮膚科医も,今後は積極的に参入していくべき分野ではないかと考えています.当科でも2013年から血管内焼灼術を開始し,これまで100例以上に施行してきました.これまでのところ大きな合併症もなく,満足のいく結果が得られています.血管内焼灼術の施行にあたっては,資格の取得が必要になります.下肢静脈瘤下血管内焼灼術実施・管理委員会のホームページに詳細が載っています.また,資格を取得した医師名や診療科も載っており,皮膚科医も少しずつ数が増えてきたように思います.とはいえ,皮膚科医はまだまだ少数派です.今後,皮膚科医の仲間が少しずつでも増えていくことを願っています.
女性と仕事
著者: 福屋泰子
ページ範囲:P.117 - P.117
女性医師問題が注目されるようになって久しい.わが医局でも8割以上が女性で,夫の転勤,妊娠,育児などに関する問題が頻繁に浮上する.特に育児に関しては,夫も医師で帰宅が遅く,すべてを1人で抱えている女性医師は多い.一方,職場では男女の区別なく医師としての仕事が待っている.女性医師は医師の仕事に加え,専業主婦と同等の役割をこなしているのだ.子供が2人,3人ともなるとこの状況が10年以上続くため,この時期に退職してしまうことが多い.私も2人の娘がいる.長女を妊娠したのは卒後11年目だった.皮膚外科が好きで,仕事人間の私だったが,つわりが激しく最低限の仕事をこなすのが精一杯となった.半年の育休後,病棟長に復職したが,幼い娘はよく熱を出し,保育園からの呼び出しも頻繁であった.やっと仕事が軌道に乗った頃,2人目を妊娠した.手術を続けたくて時短勤務で復職したが,何かが変化したように思えた.後輩から信頼されていないと気づいたとき退職を考えた.「一体仕事とは何であろう」自問自答した.生活のために働く女性医師は多くない.それでも子供を預け,周囲を巻き込み,迷惑をかけながらも続ける意味とは.葛藤のなか,白衣を着て患者の前に立ったときわかった.私はよい医師になりたいのだ.幸いにも私を励まし見守って下さった川島眞教授をはじめ,先輩方のお蔭で仕事を続けることができた.退職騒動後,私は外来長など新しい仕事を引き受けた.時間的に不安があり避けていたが,やってみることにした.当然責任と雑用は増えたが,後輩達から診療や私的な相談を受けることが増え,お互いに理解が深まると仕事がしやすくなった.新しい仕事は新しいやりがいも与えてくれた.長女は11歳になった.子育てに終わりはないが,日々できる仕事は増えている.女性で仕事を持てば十分思うように仕事ができない時期があるかもしれないが,あきらめないでほしい.そして責任のある仕事を長く続けてほしいと思う.責任を伴う仕事はやがて自分のやりがいとなり,自分の居場所を与えてくれるのだ.
漢方薬という名のうま味
著者: 黒川晃夫
ページ範囲:P.123 - P.123
近年,漢方医学に対する基礎的臨床学的研究が飛躍的に進むにつれ,徐々にエビデンスレベルでの漢方治療が行われるようになり,漢方薬を処方する医師も漸増してきている.と同時に,漢方医学教育は急速に浸透し,2004年には,医学科を有する全国80大学すべてにおいて漢方医学教育が実施されるようになった.
漢方医学は,心身のバランスを整えていくバランスの医学と表現される.アトピー性皮膚炎を例にとると,漢方治療は胃腸の状態をよくし,血流のよどみや体液分布異常を整え,さらには精神的なものまでを改善させるといった,心身のあらゆるところの補修工事を行いながら皮膚の状態をよくしていく.西洋医学,漢方医学それぞれに得意な領域,不得意な領域が存在する.私は,漢方薬のみ,もしくは漢方薬主体の治療を行うこともあるが,大抵は西洋薬で標準的な治療を行い,西洋薬でまかないきれないところを漢方薬で補うようにしている.西洋薬,漢方薬双方の治療法を習得すれば治療の幅がぐっと広がり,患者さんを目の前にすると,まるで料理を作るときのような気分にかられることがある.漢方薬を料理に例えると,うま味のようなものであろう.うま味は決して目立ちはしないが,料理の美味しさを引き出す大切な役割をしている.
カブトムシ
著者: 藤本徳毅
ページ範囲:P.145 - P.145
昨年,ホームセンターで幼虫を無料配布していたため,ケージ,昆虫マット,エサなど一式を購入して,カブトムシを飼育することになった.35年ぶりくらいである.蛹から成虫になるのを見て子供の頃に感動したのを思い出しつつ,まじめに飼育した.成虫にはなったが小さく,暑さ対策不足もあって短命であった.そのリベンジ,という訳で,今年は近くのお寺で幼虫をいただき飼育中であるが,先日,土にカビが生えていた.幼虫は死んでしまったかと思ったが,ちゃんと生きていた.それを見て,「Toll受容体欠損ショウジョウバエはカビに覆われて死ぬ」というような話を思い出した.カブトムシのToll受容体もたいしたものである.
大学院時代は基礎の教室で免疫学を教えて頂いたが,当時の抄読会でToll-like受容体(TLR),IL-17,IL-23,PD-1などに関する論文を読んだ.もちろん動物実験の話であり,ヒトにどれくらい関係あるのかな,くらいに思っていた.それが今や,それらのリガンドや抗体がヒトの治療に用いられているのは周知のことであり,驚くばかりである.私は現在,膠原病,リンパ腫,皮膚外科の専門外来をしている.腫瘍と膠原病というのは一見関係なさそうであるが,免疫学という視点からみると近い存在である.皮疹や病理組織を見ながら,TLRやPD-1がどう関与しているのだろう,などと考えていると皮膚科診療は飽きない.一流雑誌に載るような成果は出せなかったが,大学院時代の4年間が今の臨床に生きている.学位は「足の裏の米粒」といわれることもあるが,大学院時代に学んだことはその後の臨床医人生をきっと豊かにしてくれると思う.多くの若い先生に大学院に行ってもらいたいと思う次第である.とは言うものの,モチベーション受容体を刺激するのは,CpGでTLR9を活性化させるように簡単にはいかない.大学院生が立派なカブトムシになると信じて,指導に試行錯誤の毎日である.
土肥慶蔵先生のこと
著者: 井戸英樹
ページ範囲:P.151 - P.151
福井県と聞いて皆さんは何を連想するでしょうか.実は福井県は,日本の皮膚科学の始祖,土肥慶蔵先生生誕の地なのです.福井出身にもかかわらず入局後にそれを知った浅学な私ではありますが,今回は福井県内の土肥先生ゆかりの場所やエピソードを,いくつかご紹介させて頂きます.
まずは先生の生家跡地です(福井県越前市天王町1-31).何とgoogleストリートビューでも,ビルの入口向かって右に「土肥慶蔵誕生地之碑」が見えます.日本の皮膚科学がまさに生まれた大変感慨深い場所です.先生は慶応2年(1866年)6月9日,越前府中(現在の越前市)で代々藩医だった石渡家で五世宗伯の次男として生まれました.10歳で父,15歳で母を亡くされ,生活は大変苦しかったそうですが,進脩小学校(引接寺に開校し越前市役所の地へ移転.後の武生東小)に通っていた頃兄にもらった「育英新編」(国会図書館のホームページで閲覧できます)の一文に感銘を受け,「天才は勉強の別名なり」を座右の銘とし,生涯勉強に励まれました.先生は13歳で郷里を離れましたが,郷土愛が強く,明治20年(1887年)には東京で「武生郷友会」を作り,郷里から上京する学生の宿舎を開設.明治37年(1904年)には全国の福井出身の医師から成る「若越医師会」を作るなど,郷土の医学界発展にも尽力されました.これらの貢献に対し,昭和15年(1940年)には福井県医師会館(福井市大願寺3-4-10)に頌徳碑が建立されました.ストリートビューの昔の画像では,医師会館向かって左の庭の医師会創立100周年記念碑隣に見えます.昭和6年(1931年)11月6日に先生は東京麹町の自邸にて他界され,遺骨は東京の多磨霊園と,菩提寺である白道寺(福井県坂井市丸岡町石城戸町3-22)に葬られました.丸岡のお墓は福井大学病院の近くですので,郷土の偉大な先輩に対し,尊敬と感謝の念を込めて時々はお参りをして,心新たに日々の診療を行っていこうと思います.
心しなやかに
著者: 三澤恵
ページ範囲:P.154 - P.154
医局に所属して10数年,少しずつ責任のある立場や役目を任されることも多くなってきた.とてもありがたいことではあるが,与えられたお役目を十分にこなすことができるだろうか,私には荷が重いのではないだろうかと不安になり,力不足を実感することがよくある.立場が人をつくるとよく言うが最後まで立場に追いついていないのではないだろうかと思ってしまう.そんなとき,スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエック氏の本に出会った.その本によると人の心の持ち方には「硬直マインドセット(fixed mindset)」と「しなやかマインドセット(growth mindset)」の2種類あるそうだ.「硬直マインドセット」は人の能力は固定的で変えようがないという考え方で,今の評価のために行動し,チャレンジするよりも今をうまく乗り切る方法を見つける.一方,「しなやかマインドセット」は人の能力は努力次第で伸ばすことができるという考え方で,チャレンジや困難を自らの能力を伸ばすチャンスと考える.ともすれば私は新しい物事へのチャレンジを恐れる「硬直マインドセット」に陥っていたのかもしれない.「しなやかマインドセット」への考え方の切り替えはその体験から何を学べるか,どうすればそれを成長に結びつけることができるか考える習慣をつけることだという.少しずつ,心をしなやかにしていこう.新しいことを学べる環境はすでに整っているのだから.
悪性黒色腫治療—今後の課題
著者: 浅井純
ページ範囲:P.160 - P.160
2014年7月に免疫チェックポイント阻害剤の1つである抗PD-1抗体ニボルマブが進行期悪性黒色腫の新規治療薬として承認されたことを皮切りに,2015年2月にBRAF阻害剤ベムラフェニブが,さらには2015年8月にもう1つの免疫チェックポイント阻害剤である抗CTLA-4抗体イピリムマブが承認された.これらの新薬が使用できるようになってから,進行期悪性黒色腫患者の予後は大幅に改善されるようになった.さらには今後,ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法やペンブロリズマブなどさらなる新薬の登場が期待されている.患者にとっては新たなる希望が増え,喜ばしいことである.しかし,医師側にとっては治療の選択肢が広がれば広がるだけ,悩みが増えることになる.これらBRAF阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤を必要とする患者の多くは生命予後1年あるかどうかという状態であり,それぞれの患者にとって最良の治療法を迅速に選択しないといけない.特に,免疫チェックポイント阻害剤には薬が劇的に効く,いわゆる“スーパーレスポンダー”が存在する.もしスーパーレスポンダーを特定できるバイオマーカーが発見できれば,手遅れになる前に適切な治療を行うことができるようになるだろう.悪性黒色腫に対して新たな治療の選択肢が増えた今,標準的治療法の確立とともにこれら新薬の有効性を予測するバイオマーカーの発見がこれからの課題であり,皮膚悪性腫瘍を専門とする私もそこに関わっていけたら,と思う.
睡眠と皮膚
著者: 原肇秀
ページ範囲:P.163 - P.163
最近,睡眠を記録している.購入した活動量計に付いていた機能であるが,レム睡眠,ノンレム睡眠,中途覚醒などを簡便に知ることができ,なかなか興味深い.自分の睡眠をモニタリングしてみると,当直などの緊張を強いられる場面では,思っていた以上に睡眠が浅く,時間が確保できていても睡眠の質は低かった.睡眠は疲労回復のみならず,皮膚を含む細胞の再生,ホルモン分泌,免疫力向上にも関与し,良質の睡眠は皮膚の健康には欠かせない.人工照明や就寝前のスマートフォンの使用などは睡眠のサイクルを崩し,眠りを浅くするといわれている.それでは昔の人はさぞゆったりと眠っていたのかというとそうでもないらしい.治安の悪さ,騒音,夏の暑さや冬の寒さ,ノミやシラミによる瘙痒感は安眠を妨げ,日没後早くに眠りについても夜間に覚醒し,再び朝にかけてまどろんでいたという.住環境の向上は人間の良質な睡眠に寄与してきたのである.アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が悪化すると,かゆみで夜に眠れなくなり,睡眠不足が続いてしまう.適度な運動やゆっくりとした入浴を勧めると,逆にかゆくなってしまって駄目だと言われることもある.また入眠は良くても,夜中にトイレに起きた際などに思わず掻いてしまうこともあるらしい.良質な睡眠のためには皮膚症状のコントロールが最優先であることは言うまでもないが,就寝前のブルーライトの曝露を避け,朝早く起き太陽の光を浴びて体内時計に朝を意識させることが大切である.患者さんによっては,毎日こたつや電気カーペットで寝ていることもあり,皮膚症状が治らないときには日常生活にもっと目を向けなければならないと考えさせられる.限られた診察時間の中で直接見ることのできないストレスを探るため,患者さんの養生につながると信じて,よく眠れていますかと今日も問いかけている.
いわゆる皮膚科医にならないための明日の皮膚科医になるために
著者: 西田絵美
ページ範囲:P.166 - P.166
2004年の新医師臨床研修制度が始まった年に研修医となったが,そのときには以前より興味のあった小児科医を目指していた.その頭の中には,医者になったのだからやっぱりメジャーな科でないと,という思いもあったのかもしれない.しかし研修医2年目に回った皮膚科研修で,診ただけでわかる皮膚科に魅力を感じ,これをやりたいと思い皮膚科に決めた.しかしその裏で皮膚科=ラクと思われるような,いわゆる皮膚科医にはなりたくないという気持ちも強かった.ところがいざ皮膚科を選択してみると,思った以上に難しく,いつになったら自分が憧れた皮膚科医の姿になれるのかわからなくなっていた.そして大学院へ入り研究を始めると,そんなことも忘れかけていたが,そのときに言われたのが,「臨床をより高いレベルから眺め,考えるために研究をする」という言葉だった.この言葉のおかげでつらい大学院生活は乗り越えることができ,やりたかった臨床へのステップなんだと思えるようになった.そして皮膚科医となって10年を超えた今,明日の皮膚科医になるために何が必要か考えてみる.どんどんと進歩する医療についていけるような猛烈な知識量,技術,そして何よりも忘れてはいけない医師としての態度を養うことがいかに重要なのかを感じるようになった.当科のホームページには,“皮膚科のことなら何でも”協力できるような幅広い診療体制を構築すると書いてある.皮膚科は専門性が高い分野と考えられているが,それはただ専門分野ができるということではなく,皮膚科のことならなんでもできるプロフェッショナルがいる科なのではないか.
皮膚科医としての野望
著者: 藤田靖幸
ページ範囲:P.172 - P.172
大学に籍を置いていると常にいろいろな方面から,臨床や研究に邁進することを求められます.その結果として論文業績を期待されますし,立場が上になると期待する側になる機会も増えてきます.論文を書く理由は人によってさまざまでしょう.上級医に書けと言われたから? 専門医試験の受験資格を得るため? 昇進の条件だから? 教授就任の野望に近づくため?… 私の場合は,1つ挙げるとすれば「自分がこの時代に皮膚科医として生きた証拠を残したいから」になるでしょうか.研修医のときに初めて英語で症例報告を書き上げて,acceptされたときはもちろん嬉しかったのですが,その数か月後に自分の名前の存在をPubMedで確認したときが,最も達成感を感じた瞬間でした.この時代に皮膚科医Fujita Yが存在したということが,死後100年が経過しても記録として残り,誰かによって検索されるのだろうと想像すると,胸が熱くなってきます.
となると私の究極の野望はFujita disease(syndromeでもsignでも可)を発見することですが,残念ながら私にそこまでの臨床能力は身についていません.そこで次点の野望として,最近「自分自身に生じた皮膚病変を英語で症例報告する(させる)」ことを目指しています.論文を検索していると,時折One of the authors(Y.F.) presented with…といった文章で始まる症例報告に遭遇します.実際,そういう視点で自分自身の皮膚をじっと見てみると,少し珍しい皮疹が案外あることに気づきます.いつか自分の皮膚が誌面を飾ることを夢見ながら,メタボ気味になりつつある自分の身体を日々脱衣所で眺めるのでした.
--------------------
欧文目次 フリーアクセス
ページ範囲:P.6 - P.7
あとがき フリーアクセス
著者: 川島眞
ページ範囲:P.176 - P.176
今年も本増刊号をお届けする時期になりました.発行の半年以上前に編集会議を開催し,皮膚科領域にとどまらず,医学領域全体の1年間を見渡しながら,「最近のトピックス」を集め,過去の発行内容との重複を避け,臨床,研究,教育に多忙を極めるその道のリーダーたちに,多少の(?)遠慮をしながら執筆を依頼しています.執筆承諾率はほぼ100%であり,最近のimpact factor重視の実績評価からはやや距離のある仕事ではありますが,自らが有する情報の提供を皮膚科診療の発展のためとあれば惜しむことのない執筆者たちの努力には,編集者として頭の下がる思いです.読者の皆様もぜひ執筆者への感謝の思いを持って,読み込んでいただきたいと思います.
本号においても,各セクションに興味ある話題が満載です.分子標的薬をはじめ,新たな治療法も続々と登場しており,臨床家としても知識のリニューアルが要求されます.知識の整理に役立ててください.そしてコラム欄もぜひお読みください.全国の次代を背負う若き皮膚科医たちに,日頃の思い,診療での創意工夫などを自由に書いてもらっています.若い読者には良い参考に,ベテランには自分の指導した皮膚科医の成長ぶりを垣間見る機会になると思います.隅から隅まで楽しんでください.
基本情報

バックナンバー
78巻13号(2024年12月発行)
78巻12号(2024年11月発行)
78巻11号(2024年10月発行)
78巻10号(2024年9月発行)
78巻9号(2024年8月発行)
78巻8号(2024年7月発行)
78巻7号(2024年6月発行)
78巻6号(2024年5月発行)
78巻5号(2024年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2024 Clinical Dermatology 2024
78巻4号(2024年4月発行)
78巻3号(2024年3月発行)
78巻2号(2024年2月発行)
78巻1号(2024年1月発行)
77巻13号(2023年12月発行)
77巻12号(2023年11月発行)
77巻11号(2023年10月発行)
77巻10号(2023年9月発行)
77巻9号(2023年8月発行)
77巻8号(2023年7月発行)
77巻7号(2023年6月発行)
77巻6号(2023年5月発行)
77巻5号(2023年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
77巻4号(2023年4月発行)
77巻3号(2023年3月発行)
77巻2号(2023年2月発行)
77巻1号(2023年1月発行)
76巻13号(2022年12月発行)
76巻12号(2022年11月発行)
76巻11号(2022年10月発行)
76巻10号(2022年9月発行)
76巻9号(2022年8月発行)
76巻8号(2022年7月発行)
76巻7号(2022年6月発行)
76巻6号(2022年5月発行)
76巻5号(2022年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022
76巻4号(2022年4月発行)
76巻3号(2022年3月発行)
76巻2号(2022年2月発行)
76巻1号(2022年1月発行)
75巻13号(2021年12月発行)
75巻12号(2021年11月発行)
75巻11号(2021年10月発行)
75巻10号(2021年9月発行)
75巻9号(2021年8月発行)
75巻8号(2021年7月発行)
75巻7号(2021年6月発行)
75巻6号(2021年5月発行)
75巻5号(2021年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2021 Clinical Dermatology 2021
75巻4号(2021年4月発行)
75巻3号(2021年3月発行)
75巻2号(2021年2月発行)
75巻1号(2021年1月発行)
74巻13号(2020年12月発行)
74巻12号(2020年11月発行)
74巻11号(2020年10月発行)
74巻10号(2020年9月発行)
74巻9号(2020年8月発行)
74巻8号(2020年7月発行)
74巻7号(2020年6月発行)
74巻6号(2020年5月発行)
74巻5号(2020年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020
74巻4号(2020年4月発行)
74巻3号(2020年3月発行)
74巻2号(2020年2月発行)
74巻1号(2020年1月発行)
73巻13号(2019年12月発行)
73巻12号(2019年11月発行)
73巻11号(2019年10月発行)
73巻10号(2019年9月発行)
73巻9号(2019年8月発行)
73巻8号(2019年7月発行)
73巻7号(2019年6月発行)
73巻6号(2019年5月発行)
73巻5号(2019年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019
73巻4号(2019年4月発行)
73巻3号(2019年3月発行)
73巻2号(2019年2月発行)
73巻1号(2019年1月発行)
72巻13号(2018年12月発行)
72巻12号(2018年11月発行)
72巻11号(2018年10月発行)
72巻10号(2018年9月発行)
72巻9号(2018年8月発行)
72巻8号(2018年7月発行)
72巻7号(2018年6月発行)
72巻6号(2018年5月発行)
72巻5号(2018年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
72巻4号(2018年4月発行)
72巻3号(2018年3月発行)
72巻2号(2018年2月発行)
72巻1号(2018年1月発行)
71巻13号(2017年12月発行)
71巻12号(2017年11月発行)
71巻11号(2017年10月発行)
71巻10号(2017年9月発行)
71巻9号(2017年8月発行)
71巻8号(2017年7月発行)
71巻7号(2017年6月発行)
71巻6号(2017年5月発行)
71巻5号(2017年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2017 Clinical Dermatology 2017
71巻4号(2017年4月発行)
71巻3号(2017年3月発行)
71巻2号(2017年2月発行)
71巻1号(2017年1月発行)
70巻13号(2016年12月発行)
70巻12号(2016年11月発行)
70巻11号(2016年10月発行)
70巻10号(2016年9月発行)
70巻9号(2016年8月発行)
70巻8号(2016年7月発行)
70巻7号(2016年6月発行)
70巻6号(2016年5月発行)
70巻5号(2016年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016
70巻4号(2016年4月発行)
70巻3号(2016年3月発行)
70巻2号(2016年2月発行)
70巻1号(2016年1月発行)
69巻13号(2015年12月発行)
69巻12号(2015年11月発行)
69巻11号(2015年10月発行)
69巻10号(2015年9月発行)
69巻9号(2015年8月発行)
69巻8号(2015年7月発行)
69巻7号(2015年6月発行)
69巻6号(2015年5月発行)
69巻5号(2015年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2015 Clinical Dermatology 2015
69巻4号(2015年4月発行)
69巻3号(2015年3月発行)
69巻2号(2015年2月発行)
69巻1号(2015年1月発行)
68巻13号(2014年12月発行)
68巻12号(2014年11月発行)
68巻11号(2014年10月発行)
68巻10号(2014年9月発行)
68巻9号(2014年8月発行)
68巻8号(2014年7月発行)
68巻7号(2014年6月発行)
68巻6号(2014年5月発行)
68巻5号(2014年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2014 Clinical Dermatology 2014
68巻4号(2014年4月発行)
68巻3号(2014年3月発行)
68巻2号(2014年2月発行)
68巻1号(2014年1月発行)
67巻13号(2013年12月発行)
67巻12号(2013年11月発行)
67巻11号(2013年10月発行)
67巻10号(2013年9月発行)
67巻9号(2013年8月発行)
67巻8号(2013年7月発行)
67巻7号(2013年6月発行)
67巻6号(2013年5月発行)
67巻5号(2013年4月発行)
特集 最近のトピックス2013 Clinical Dermatology 2013
67巻4号(2013年4月発行)
67巻3号(2013年3月発行)
67巻2号(2013年2月発行)
67巻1号(2013年1月発行)
66巻13号(2012年12月発行)
66巻12号(2012年11月発行)
66巻11号(2012年10月発行)
66巻10号(2012年9月発行)
66巻9号(2012年8月発行)
66巻8号(2012年7月発行)
66巻7号(2012年6月発行)
66巻6号(2012年5月発行)
66巻5号(2012年4月発行)
特集 最近のトピックス2012 Clinical Dermatology 2012
66巻4号(2012年4月発行)
66巻3号(2012年3月発行)
66巻2号(2012年2月発行)
66巻1号(2012年1月発行)
65巻13号(2011年12月発行)
65巻12号(2011年11月発行)
65巻11号(2011年10月発行)
65巻10号(2011年9月発行)
65巻9号(2011年8月発行)
65巻8号(2011年7月発行)
65巻7号(2011年6月発行)
65巻6号(2011年5月発行)
65巻5号(2011年4月発行)
特集 最近のトピックス2011 Clinical Dermatology 2011
65巻4号(2011年4月発行)
65巻3号(2011年3月発行)
65巻2号(2011年2月発行)
65巻1号(2011年1月発行)
64巻13号(2010年12月発行)
64巻12号(2010年11月発行)
64巻11号(2010年10月発行)
64巻10号(2010年9月発行)
64巻9号(2010年8月発行)
64巻8号(2010年7月発行)
64巻7号(2010年6月発行)
64巻6号(2010年5月発行)
64巻5号(2010年4月発行)
特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010
64巻4号(2010年4月発行)
64巻3号(2010年3月発行)
64巻2号(2010年2月発行)
64巻1号(2010年1月発行)
63巻13号(2009年12月発行)
63巻12号(2009年11月発行)
63巻11号(2009年10月発行)
63巻10号(2009年9月発行)
63巻9号(2009年8月発行)
63巻8号(2009年7月発行)
63巻7号(2009年6月発行)
63巻6号(2009年5月発行)
63巻5号(2009年4月発行)
特集 最近のトピックス2009 Clinical Dermatology 2009
63巻4号(2009年4月発行)
63巻3号(2009年3月発行)
63巻2号(2009年2月発行)
63巻1号(2009年1月発行)
62巻13号(2008年12月発行)
62巻12号(2008年11月発行)
62巻11号(2008年10月発行)
62巻10号(2008年9月発行)
62巻9号(2008年8月発行)
62巻8号(2008年7月発行)
62巻7号(2008年6月発行)
62巻6号(2008年5月発行)
62巻5号(2008年4月発行)
特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008
62巻4号(2008年4月発行)
62巻3号(2008年3月発行)
62巻2号(2008年2月発行)
62巻1号(2008年1月発行)
61巻13号(2007年12月発行)
61巻12号(2007年11月発行)
61巻11号(2007年10月発行)
61巻10号(2007年9月発行)
61巻9号(2007年8月発行)
61巻8号(2007年7月発行)
61巻7号(2007年6月発行)
61巻6号(2007年5月発行)
61巻5号(2007年4月発行)
特集 最近のトピックス2007 Clinical Dermatology 2007
61巻4号(2007年4月発行)
61巻3号(2007年3月発行)
61巻2号(2007年2月発行)
61巻1号(2007年1月発行)
60巻13号(2006年12月発行)
60巻12号(2006年11月発行)
60巻11号(2006年10月発行)
60巻10号(2006年9月発行)
60巻9号(2006年8月発行)
60巻8号(2006年7月発行)
60巻7号(2006年6月発行)
60巻6号(2006年5月発行)
60巻4号(2006年4月発行)
60巻5号(2006年4月発行)
特集 最近のトピックス 2006 Clinical Dermatology 2006
60巻3号(2006年3月発行)
60巻2号(2006年2月発行)
60巻1号(2006年1月発行)
59巻13号(2005年12月発行)
59巻12号(2005年11月発行)
59巻11号(2005年10月発行)
59巻10号(2005年9月発行)
59巻9号(2005年8月発行)
59巻8号(2005年7月発行)
59巻7号(2005年6月発行)
59巻6号(2005年5月発行)
59巻4号(2005年4月発行)
59巻5号(2005年4月発行)
特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005
59巻3号(2005年3月発行)
59巻2号(2005年2月発行)
59巻1号(2005年1月発行)
58巻13号(2004年12月発行)
58巻12号(2004年11月発行)
58巻11号(2004年10月発行)
58巻10号(2004年9月発行)
58巻9号(2004年8月発行)
58巻8号(2004年7月発行)
58巻7号(2004年6月発行)
58巻6号(2004年5月発行)
58巻4号(2004年4月発行)
58巻5号(2004年4月発行)
特集 最近のトピックス2004 Clinical Dermatology 2004
58巻3号(2004年3月発行)
58巻2号(2004年2月発行)
58巻1号(2004年1月発行)
57巻13号(2003年12月発行)
57巻12号(2003年11月発行)
57巻11号(2003年10月発行)
57巻10号(2003年9月発行)
57巻9号(2003年8月発行)
57巻8号(2003年7月発行)
57巻7号(2003年6月発行)
57巻6号(2003年5月発行)
57巻4号(2003年4月発行)
57巻5号(2003年4月発行)
特集 最近のトピックス2003 Clinical Dermatology 2003
57巻3号(2003年3月発行)
57巻2号(2003年2月発行)
57巻1号(2003年1月発行)
56巻13号(2002年12月発行)
56巻12号(2002年11月発行)
56巻11号(2002年10月発行)
56巻10号(2002年9月発行)
56巻9号(2002年8月発行)
56巻8号(2002年7月発行)
56巻7号(2002年6月発行)
56巻6号(2002年5月発行)
56巻5号(2002年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2002
56巻4号(2002年4月発行)
56巻3号(2002年3月発行)
56巻2号(2002年2月発行)
56巻1号(2002年1月発行)
55巻14号(2001年12月発行)
特集 皮膚真菌症の新しい治療戦略
55巻13号(2001年12月発行)
55巻12号(2001年11月発行)
55巻11号(2001年10月発行)
55巻10号(2001年9月発行)
55巻9号(2001年8月発行)
55巻8号(2001年7月発行)
55巻7号(2001年6月発行)
55巻6号(2001年5月発行)
55巻5号(2001年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2001
55巻4号(2001年4月発行)
55巻3号(2001年3月発行)
55巻2号(2001年2月発行)
55巻1号(2001年1月発行)
54巻13号(2000年12月発行)
54巻12号(2000年11月発行)
54巻11号(2000年10月発行)
54巻10号(2000年9月発行)
54巻9号(2000年8月発行)
54巻8号(2000年7月発行)
54巻7号(2000年6月発行)
54巻6号(2000年5月発行)
54巻5号(2000年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2000
54巻4号(2000年4月発行)
54巻3号(2000年3月発行)
54巻2号(2000年2月発行)
54巻1号(2000年1月発行)
53巻13号(1999年12月発行)
53巻12号(1999年11月発行)
53巻11号(1999年10月発行)
53巻10号(1999年9月発行)
53巻9号(1999年8月発行)
53巻8号(1999年7月発行)
53巻7号(1999年6月発行)
53巻6号(1999年5月発行)
53巻5号(1999年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1999
53巻4号(1999年4月発行)
53巻3号(1999年3月発行)
53巻2号(1999年2月発行)
53巻1号(1999年1月発行)
52巻13号(1998年12月発行)
52巻12号(1998年11月発行)
52巻11号(1998年10月発行)
52巻10号(1998年9月発行)
52巻9号(1998年8月発行)
52巻8号(1998年7月発行)
52巻7号(1998年6月発行)
52巻6号(1998年5月発行)
52巻5号(1998年4月発行)
特集 最近のトピックス1998 Clinical Dermatology 1998
52巻4号(1998年4月発行)
52巻3号(1998年3月発行)
52巻2号(1998年2月発行)
52巻1号(1998年1月発行)
51巻13号(1997年12月発行)
51巻12号(1997年11月発行)
51巻11号(1997年10月発行)
51巻10号(1997年9月発行)
51巻9号(1997年8月発行)
51巻8号(1997年7月発行)
51巻7号(1997年6月発行)
51巻6号(1997年5月発行)
51巻5号(1997年4月発行)
特集 最近のトピックス1997 Clinical Dermatology 1997
51巻4号(1997年4月発行)
51巻3号(1997年3月発行)
51巻2号(1997年2月発行)
51巻1号(1997年1月発行)
50巻13号(1996年12月発行)
50巻12号(1996年11月発行)
50巻11号(1996年10月発行)
50巻10号(1996年9月発行)
50巻9号(1996年8月発行)
50巻8号(1996年7月発行)
50巻7号(1996年6月発行)
50巻6号(1996年5月発行)
50巻5号(1996年4月発行)
特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
50巻4号(1996年4月発行)
50巻3号(1996年3月発行)
50巻2号(1996年2月発行)
50巻1号(1996年1月発行)
49巻13号(1995年12月発行)
49巻12号(1995年11月発行)
49巻11号(1995年10月発行)
49巻10号(1995年9月発行)
49巻9号(1995年8月発行)
49巻8号(1995年7月発行)
49巻7号(1995年6月発行)
49巻6号(1995年5月発行)
49巻5号(1995年4月発行)
特集 最近のトピックス1995 Clinical Dermatology 1995
49巻4号(1995年4月発行)
49巻3号(1995年3月発行)
49巻2号(1995年2月発行)
49巻1号(1995年1月発行)
48巻13号(1994年12月発行)
48巻12号(1994年11月発行)
48巻11号(1994年10月発行)
48巻10号(1994年9月発行)
48巻9号(1994年8月発行)
48巻8号(1994年7月発行)
48巻7号(1994年6月発行)
48巻6号(1994年5月発行)
48巻5号(1994年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1994
48巻4号(1994年4月発行)
48巻3号(1994年3月発行)
48巻2号(1994年2月発行)
48巻1号(1994年1月発行)
47巻13号(1993年12月発行)
47巻12号(1993年11月発行)
47巻11号(1993年10月発行)
47巻10号(1993年9月発行)
47巻9号(1993年8月発行)
47巻8号(1993年7月発行)
47巻7号(1993年6月発行)
47巻6号(1993年5月発行)
47巻5号(1993年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993
47巻4号(1993年4月発行)
47巻3号(1993年3月発行)
47巻2号(1993年2月発行)
47巻1号(1993年1月発行)
46巻13号(1992年12月発行)
46巻12号(1992年11月発行)
46巻11号(1992年10月発行)
46巻10号(1992年9月発行)
46巻9号(1992年8月発行)
46巻8号(1992年7月発行)
46巻7号(1992年6月発行)
46巻6号(1992年5月発行)
46巻5号(1992年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1992
46巻4号(1992年4月発行)
46巻3号(1992年3月発行)
46巻2号(1992年2月発行)
46巻1号(1992年1月発行)
45巻13号(1991年12月発行)
45巻12号(1991年11月発行)
45巻11号(1991年10月発行)
45巻10号(1991年9月発行)
45巻9号(1991年8月発行)
45巻8号(1991年7月発行)
45巻7号(1991年6月発行)
45巻6号(1991年5月発行)
45巻5号(1991年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991
45巻4号(1991年4月発行)
45巻3号(1991年3月発行)
45巻2号(1991年2月発行)
45巻1号(1991年1月発行)
44巻13号(1990年12月発行)
44巻12号(1990年11月発行)
44巻11号(1990年10月発行)
44巻10号(1990年9月発行)
44巻9号(1990年8月発行)
44巻8号(1990年7月発行)
44巻7号(1990年6月発行)
44巻6号(1990年5月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990
44巻5号(1990年5月発行)
44巻4号(1990年4月発行)
44巻3号(1990年3月発行)
44巻2号(1990年2月発行)
44巻1号(1990年1月発行)
43巻13号(1989年12月発行)
43巻12号(1989年11月発行)
43巻11号(1989年10月発行)
43巻10号(1989年9月発行)
43巻9号(1989年8月発行)
43巻8号(1989年7月発行)
43巻7号(1989年6月発行)
43巻6号(1989年5月発行)
特集 臨床皮膚科—最近のトピックス
43巻5号(1989年5月発行)
43巻4号(1989年4月発行)
43巻3号(1989年3月発行)
43巻2号(1989年2月発行)
43巻1号(1989年1月発行)
42巻12号(1988年12月発行)
42巻11号(1988年11月発行)
42巻10号(1988年10月発行)
42巻9号(1988年9月発行)
42巻8号(1988年8月発行)
42巻7号(1988年7月発行)
42巻6号(1988年6月発行)
42巻5号(1988年5月発行)
42巻4号(1988年4月発行)
42巻3号(1988年3月発行)
42巻2号(1988年2月発行)
42巻1号(1988年1月発行)
41巻13号(1987年12月発行)
41巻12号(1987年11月発行)
41巻11号(1987年10月発行)
41巻10号(1987年9月発行)
41巻9号(1987年8月発行)
41巻8号(1987年7月発行)
41巻7号(1987年6月発行)
41巻6号(1987年5月発行)
41巻5号(1987年5月発行)
41巻4号(1987年4月発行)
41巻3号(1987年3月発行)
41巻2号(1987年2月発行)
41巻1号(1987年1月発行)
40巻12号(1986年12月発行)
40巻11号(1986年11月発行)
40巻10号(1986年10月発行)
40巻9号(1986年9月発行)
40巻8号(1986年8月発行)
40巻7号(1986年7月発行)
40巻6号(1986年6月発行)
40巻5号(1986年5月発行)
40巻4号(1986年4月発行)
40巻3号(1986年3月発行)
40巻2号(1986年2月発行)
40巻1号(1986年1月発行)
39巻12号(1985年12月発行)
39巻11号(1985年11月発行)
39巻10号(1985年10月発行)
39巻9号(1985年9月発行)
39巻8号(1985年8月発行)
39巻7号(1985年7月発行)
39巻6号(1985年6月発行)
39巻5号(1985年5月発行)
39巻4号(1985年4月発行)
39巻3号(1985年3月発行)
39巻2号(1985年2月発行)
39巻1号(1985年1月発行)
38巻12号(1984年12月発行)
38巻11号(1984年11月発行)
38巻10号(1984年10月発行)
38巻9号(1984年9月発行)
38巻8号(1984年8月発行)
38巻7号(1984年7月発行)
38巻6号(1984年6月発行)
38巻5号(1984年5月発行)
38巻4号(1984年4月発行)
38巻3号(1984年3月発行)
38巻2号(1984年2月発行)
38巻1号(1984年1月発行)
37巻12号(1983年12月発行)
37巻11号(1983年11月発行)
37巻10号(1983年10月発行)
37巻9号(1983年9月発行)
37巻8号(1983年8月発行)
37巻7号(1983年7月発行)
37巻6号(1983年6月発行)
37巻5号(1983年5月発行)
37巻4号(1983年4月発行)
37巻3号(1983年3月発行)
37巻2号(1983年2月発行)
37巻1号(1983年1月発行)
36巻12号(1982年12月発行)
36巻11号(1982年11月発行)
36巻10号(1982年10月発行)
36巻9号(1982年9月発行)
36巻8号(1982年8月発行)
36巻7号(1982年7月発行)
36巻6号(1982年6月発行)
36巻5号(1982年5月発行)
36巻4号(1982年4月発行)
36巻3号(1982年3月発行)
36巻2号(1982年2月発行)
36巻1号(1982年1月発行)
35巻12号(1981年12月発行)
35巻11号(1981年11月発行)
35巻10号(1981年10月発行)
35巻9号(1981年9月発行)
35巻8号(1981年8月発行)
35巻7号(1981年7月発行)
35巻6号(1981年6月発行)
35巻5号(1981年5月発行)
35巻4号(1981年4月発行)
35巻3号(1981年3月発行)
35巻2号(1981年2月発行)
35巻1号(1981年1月発行)
34巻12号(1980年12月発行)
34巻11号(1980年11月発行)
34巻10号(1980年10月発行)
34巻9号(1980年9月発行)
34巻8号(1980年8月発行)
34巻7号(1980年7月発行)
34巻6号(1980年6月発行)
34巻5号(1980年5月発行)
34巻4号(1980年4月発行)
34巻3号(1980年3月発行)
34巻2号(1980年2月発行)
34巻1号(1980年1月発行)
33巻12号(1979年12月発行)
33巻11号(1979年11月発行)
33巻10号(1979年10月発行)
33巻9号(1979年9月発行)
33巻8号(1979年8月発行)
33巻7号(1979年7月発行)
33巻6号(1979年6月発行)
33巻5号(1979年5月発行)
33巻4号(1979年4月発行)
33巻3号(1979年3月発行)
33巻2号(1979年2月発行)
33巻1号(1979年1月発行)
32巻12号(1978年12月発行)
32巻11号(1978年11月発行)
32巻10号(1978年10月発行)
32巻9号(1978年9月発行)
32巻8号(1978年8月発行)
32巻7号(1978年7月発行)
32巻6号(1978年6月発行)
32巻5号(1978年5月発行)
32巻4号(1978年4月発行)
32巻3号(1978年3月発行)
32巻2号(1978年2月発行)
32巻1号(1978年1月発行)
31巻12号(1977年12月発行)
31巻11号(1977年11月発行)
31巻10号(1977年10月発行)
31巻9号(1977年9月発行)
31巻8号(1977年8月発行)
31巻7号(1977年7月発行)
31巻6号(1977年6月発行)
31巻5号(1977年5月発行)
31巻4号(1977年4月発行)
31巻3号(1977年3月発行)
31巻2号(1977年2月発行)
31巻1号(1977年1月発行)
30巻12号(1976年12月発行)
30巻11号(1976年11月発行)
30巻10号(1976年10月発行)
30巻9号(1976年9月発行)
30巻8号(1976年8月発行)
30巻7号(1976年7月発行)
30巻6号(1976年6月発行)
30巻5号(1976年5月発行)
30巻4号(1976年4月発行)
30巻3号(1976年3月発行)
30巻2号(1976年2月発行)
30巻1号(1976年1月発行)
29巻12号(1975年12月発行)
29巻11号(1975年11月発行)
29巻10号(1975年10月発行)
29巻9号(1975年9月発行)
29巻8号(1975年8月発行)
29巻7号(1975年7月発行)
29巻6号(1975年6月発行)
29巻5号(1975年5月発行)
29巻4号(1975年4月発行)
29巻3号(1975年3月発行)
29巻2号(1975年2月発行)
29巻1号(1975年1月発行)
28巻12号(1974年12月発行)
28巻11号(1974年11月発行)
28巻10号(1974年10月発行)
28巻8号(1974年8月発行)
28巻7号(1974年7月発行)
28巻6号(1974年6月発行)
28巻5号(1974年5月発行)
28巻4号(1974年4月発行)
28巻3号(1974年3月発行)
28巻2号(1974年2月発行)
28巻1号(1974年1月発行)
27巻12号(1973年12月発行)
27巻11号(1973年11月発行)
27巻10号(1973年10月発行)
27巻9号(1973年9月発行)
27巻8号(1973年8月発行)
27巻7号(1973年7月発行)
27巻6号(1973年6月発行)
27巻5号(1973年5月発行)
27巻4号(1973年4月発行)
27巻3号(1973年3月発行)
27巻2号(1973年2月発行)
27巻1号(1973年1月発行)
26巻12号(1972年12月発行)
26巻11号(1972年11月発行)
26巻10号(1972年10月発行)
26巻9号(1972年9月発行)
26巻8号(1972年8月発行)
26巻7号(1972年7月発行)
26巻6号(1972年6月発行)
26巻5号(1972年5月発行)
26巻4号(1972年4月発行)
26巻3号(1972年3月発行)
26巻2号(1972年2月発行)
26巻1号(1972年1月発行)
25巻13号(1971年12月発行)
特集 小児の皮膚疾患
25巻12号(1971年12月発行)
25巻11号(1971年11月発行)
25巻10号(1971年10月発行)
25巻9号(1971年9月発行)
25巻8号(1971年8月発行)
25巻7号(1971年7月発行)
特集 基底膜
25巻6号(1971年6月発行)
25巻5号(1971年5月発行)
25巻4号(1971年4月発行)
25巻3号(1971年3月発行)
25巻2号(1971年2月発行)
25巻1号(1971年1月発行)
24巻12号(1970年12月発行)
24巻11号(1970年11月発行)
24巻10号(1970年10月発行)
24巻9号(1970年9月発行)
24巻8号(1970年8月発行)
24巻7号(1970年7月発行)
24巻6号(1970年6月発行)
24巻5号(1970年5月発行)
24巻4号(1970年4月発行)
24巻3号(1970年3月発行)
24巻2号(1970年2月発行)
24巻1号(1970年1月発行)
23巻12号(1969年12月発行)
23巻11号(1969年11月発行)
23巻10号(1969年10月発行)
23巻9号(1969年9月発行)
23巻8号(1969年8月発行)
23巻7号(1969年7月発行)
23巻6号(1969年6月発行)
23巻5号(1969年5月発行)
23巻4号(1969年4月発行)
23巻3号(1969年3月発行)
23巻2号(1969年2月発行)
23巻1号(1969年1月発行)