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増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016 2.皮膚疾患の病態
マイクロバイオーム(microbiome)
著者: 川崎洋1 海老原全1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.47 - P.52
文献購入ページに移動皮膚の表面には多種多様な微生物(細菌,真菌,ウイルス,原虫等)が存在しており,皮膚の部位や生育環境に応じて異なる微生物叢(微生物集団)を形成し,皮膚の機能維持に寄与している.近年,シークエンス技術の発展により,マイクロバイオーム(microbiome:微生物叢を構成する微生物種の集合ゲノム)を網羅的に解析することが可能となり,各皮膚疾患病態における微生物群の関与が急速に解き明かされつつある.病変部皮膚では,微生物種の構成異常(dysbiosis)が生じていることが各疾患で報告されるとともに,病態を正しく理解するためには菌種ごとの多様性を理解し菌株レベルの解析まで広げることが重要である.皮膚疾患とマイクロバイオームに関する研究はまだ始まったばかりだが,今後解明が進み,微生物群を標的とした新規治療法の開発や患者個々の微生物叢に適した個別化医療の実践につながることが期待される.
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