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増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016
2.皮膚疾患の病態
文献概要
summary
ヒトのすべての細胞は同じゲノムに由来するという原則に反して,個体内に一部配列の違うゲノムを持った2種類の細胞が混在する状態をモザイクと称する.Superimposed linear psoriasis(SLP)はきわめて稀な乾癬の1亜型で,通常の乾癬に先行して発症する線状の角化性病変とされ,母斑などと同じモザイクの状態と考えられている.一般に単一遺伝子の異常でモザイクは説明されるが,Happleはsegmental mosaicism of polygenic skin disordersという概念を提唱し,多因子疾患でも,より発症しやすいゲノム変化を持ったモザイクがあれば,やがて発症する全身の乾癬に先んじて,部分的に乾癬を発症させる可能性があることを推定している.SLPは,通常小児期に発症して領域は不変で,治療に抵抗性で,治療で他の乾癬の部分が治癒しても残存することが多いとされる.モザイク病の概念と,SLPについて解説する.
ヒトのすべての細胞は同じゲノムに由来するという原則に反して,個体内に一部配列の違うゲノムを持った2種類の細胞が混在する状態をモザイクと称する.Superimposed linear psoriasis(SLP)はきわめて稀な乾癬の1亜型で,通常の乾癬に先行して発症する線状の角化性病変とされ,母斑などと同じモザイクの状態と考えられている.一般に単一遺伝子の異常でモザイクは説明されるが,Happleはsegmental mosaicism of polygenic skin disordersという概念を提唱し,多因子疾患でも,より発症しやすいゲノム変化を持ったモザイクがあれば,やがて発症する全身の乾癬に先んじて,部分的に乾癬を発症させる可能性があることを推定している.SLPは,通常小児期に発症して領域は不変で,治療に抵抗性で,治療で他の乾癬の部分が治癒しても残存することが多いとされる.モザイク病の概念と,SLPについて解説する.
参考文献
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