icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻5号

2016年04月発行

増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016

4.皮膚疾患治療のポイント

全身性強皮症の指尖潰瘍に対するボセンタン療法

著者: 渡辺玲1 藤本学1

所属機関: 1筑波大学医学医療系皮膚科

ページ範囲:P.110 - P.112

文献概要

summary
全身性強皮症の病態として自己免疫,線維化,血管障害が挙げられる.指尖潰瘍は全身性強皮症患者において頻度の高い(35〜60%)血管障害による合併症であり,全身性強皮症発症早期から生じうる上,難治例,再発例が多く患者のADL,QOLの低下に直結する.一方,全身性強皮症とエンドセリンの関係は1990年代より報告があり,特に肺高血圧症や強皮症腎クリーゼの症例で血漿中エンドセリンが高値となることから,同じ血管障害である指尖潰瘍においてもエンドセリンの関与が想定されてきた.エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは肺動脈性肺高血圧に対して本邦でも使用されており,欧米での二度の良質な無作為化二重盲検試験を経て,本邦でも2015年に全身性強皮症の指尖潰瘍新規発症抑制目的として承認された.本稿では,エンドセリンの全身性強皮症病態における役割,ボセンタンの作用機序,無作為化二重盲検試験の結果を概説する.

参考文献

1) Walker UA, et al:Ann Rheum Dis 66:754, 2007
2) Steen V, et al:Rheumatology(Oxford) 48 Supp 3:ⅲ19, 2009
3) Mawdsley AH:Rheumatology(Oxford) 45:1573, 2006
4) Ferri C, et al:Medicine (Baltimore) 81:139, 2002
5) Hachulla E, et al:J Rheumatol 34:2423, 2007
6) Yanagisawa M, et al:J Hypertens Suppl 6:S188, 1988
7) Yanagisawa M:Circulation 89:1320, 1994
8) Yang Z, et al:Circulation 100:5, 1999
9) Morelli S, et al:Am J Med 99:255, 1995
10) Vancheeswaran R, et al:J Rheumatol 21:1838, 1994
11) Penn H, et al:QJM 106:839, 2013
12) Seo B, et al:Circulation 89:1203, 1994
13) Korn JH, et al:Arthritis Rheum 50:3985, 2004
14) Matucci-Cerinic M, et al:Ann Rheum Dis 70:32, 2011
15) 日本人SScに伴う手指潰瘍患者に対するボセンタンの安全性,忍容性を検討するオープンラベル第Ⅲ相試験承認申請時評価資料
16) 藤本 学,他:日皮会誌 121:2187, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら