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増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016
4.皮膚疾患治療のポイント
文献概要
summary
全身性強皮症の病態として自己免疫,線維化,血管障害が挙げられる.指尖潰瘍は全身性強皮症患者において頻度の高い(35〜60%)血管障害による合併症であり,全身性強皮症発症早期から生じうる上,難治例,再発例が多く患者のADL,QOLの低下に直結する.一方,全身性強皮症とエンドセリンの関係は1990年代より報告があり,特に肺高血圧症や強皮症腎クリーゼの症例で血漿中エンドセリンが高値となることから,同じ血管障害である指尖潰瘍においてもエンドセリンの関与が想定されてきた.エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは肺動脈性肺高血圧に対して本邦でも使用されており,欧米での二度の良質な無作為化二重盲検試験を経て,本邦でも2015年に全身性強皮症の指尖潰瘍新規発症抑制目的として承認された.本稿では,エンドセリンの全身性強皮症病態における役割,ボセンタンの作用機序,無作為化二重盲検試験の結果を概説する.
全身性強皮症の病態として自己免疫,線維化,血管障害が挙げられる.指尖潰瘍は全身性強皮症患者において頻度の高い(35〜60%)血管障害による合併症であり,全身性強皮症発症早期から生じうる上,難治例,再発例が多く患者のADL,QOLの低下に直結する.一方,全身性強皮症とエンドセリンの関係は1990年代より報告があり,特に肺高血圧症や強皮症腎クリーゼの症例で血漿中エンドセリンが高値となることから,同じ血管障害である指尖潰瘍においてもエンドセリンの関与が想定されてきた.エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは肺動脈性肺高血圧に対して本邦でも使用されており,欧米での二度の良質な無作為化二重盲検試験を経て,本邦でも2015年に全身性強皮症の指尖潰瘍新規発症抑制目的として承認された.本稿では,エンドセリンの全身性強皮症病態における役割,ボセンタンの作用機序,無作為化二重盲検試験の結果を概説する.
参考文献
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