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文献概要
Derm.2016
皮膚科医による下肢静脈瘤の治療
著者: 前川武雄1
所属機関: 1自治医科大学皮膚科学
ページ範囲:P.116 - P.116
文献購入ページに移動 下肢静脈瘤の治療の歴史は長く,古くは古代ローマ時代からその記録が残っています.現在でも行われている高位結紮術やストリッピング術は,100年以上の歴史を持つ治療で,長い間下肢静脈瘤治療の標準術式として施行されてきました.その長い歴史が2000年頃に登場した血管内治療機器により大きな転換期を迎えています.欧米ではすでに下肢静脈瘤治療の90%以上が血管内治療で行われるようになり,本邦においても2011年に波長980nmのELVeS®レーザーが保険認可され,2014年には波長1,470nmのELVeS®レーザー1470とラジオ波(高周波)治療機器VenefitTMが加わり,下肢静脈瘤の治療の主体は従来の手術治療から血管内治療に移行しつつあります.
血管内治療機器の登場後,メディア等で下肢静脈瘤治療の啓蒙活動が行われたこともあり,下肢静脈瘤の治療目的に病院を受診される患者が飛躍的に増えています.従来,下肢静脈瘤の治療を行う診療科は,血管外科が圧倒的に多く,皮膚科で行っている施設は非常に少ない現状がありました.しかしながら,受診患者数の増加により,うっ滞性皮膚炎や静脈性下腿潰瘍を日常診療しているわれわれ皮膚科医も,今後は積極的に参入していくべき分野ではないかと考えています.当科でも2013年から血管内焼灼術を開始し,これまで100例以上に施行してきました.これまでのところ大きな合併症もなく,満足のいく結果が得られています.血管内焼灼術の施行にあたっては,資格の取得が必要になります.下肢静脈瘤下血管内焼灼術実施・管理委員会のホームページに詳細が載っています.また,資格を取得した医師名や診療科も載っており,皮膚科医も少しずつ数が増えてきたように思います.とはいえ,皮膚科医はまだまだ少数派です.今後,皮膚科医の仲間が少しずつでも増えていくことを願っています.
血管内治療機器の登場後,メディア等で下肢静脈瘤治療の啓蒙活動が行われたこともあり,下肢静脈瘤の治療目的に病院を受診される患者が飛躍的に増えています.従来,下肢静脈瘤の治療を行う診療科は,血管外科が圧倒的に多く,皮膚科で行っている施設は非常に少ない現状がありました.しかしながら,受診患者数の増加により,うっ滞性皮膚炎や静脈性下腿潰瘍を日常診療しているわれわれ皮膚科医も,今後は積極的に参入していくべき分野ではないかと考えています.当科でも2013年から血管内焼灼術を開始し,これまで100例以上に施行してきました.これまでのところ大きな合併症もなく,満足のいく結果が得られています.血管内焼灼術の施行にあたっては,資格の取得が必要になります.下肢静脈瘤下血管内焼灼術実施・管理委員会のホームページに詳細が載っています.また,資格を取得した医師名や診療科も載っており,皮膚科医も少しずつ数が増えてきたように思います.とはいえ,皮膚科医はまだまだ少数派です.今後,皮膚科医の仲間が少しずつでも増えていくことを願っています.
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