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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻5号

2016年04月発行

文献概要

Derm.2016

漢方薬という名のうま味

著者: 黒川晃夫1

所属機関: 1大阪医科大学感覚器機能形態医学講座皮膚科学

ページ範囲:P.123 - P.123

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 近年,漢方医学に対する基礎的臨床学的研究が飛躍的に進むにつれ,徐々にエビデンスレベルでの漢方治療が行われるようになり,漢方薬を処方する医師も漸増してきている.と同時に,漢方医学教育は急速に浸透し,2004年には,医学科を有する全国80大学すべてにおいて漢方医学教育が実施されるようになった.
 漢方医学は,心身のバランスを整えていくバランスの医学と表現される.アトピー性皮膚炎を例にとると,漢方治療は胃腸の状態をよくし,血流のよどみや体液分布異常を整え,さらには精神的なものまでを改善させるといった,心身のあらゆるところの補修工事を行いながら皮膚の状態をよくしていく.西洋医学,漢方医学それぞれに得意な領域,不得意な領域が存在する.私は,漢方薬のみ,もしくは漢方薬主体の治療を行うこともあるが,大抵は西洋薬で標準的な治療を行い,西洋薬でまかないきれないところを漢方薬で補うようにしている.西洋薬,漢方薬双方の治療法を習得すれば治療の幅がぐっと広がり,患者さんを目の前にすると,まるで料理を作るときのような気分にかられることがある.漢方薬を料理に例えると,うま味のようなものであろう.うま味は決して目立ちはしないが,料理の美味しさを引き出す大切な役割をしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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