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増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016 4.皮膚疾患治療のポイント
BRAF阻害薬を用いた悪性黒色腫療法とその副作用対策
著者: 大塚正樹1
所属機関: 1静岡がんセンター皮膚科
ページ範囲:P.125 - P.130
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BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に対して本邦で2014年12月にBRAF阻害薬ベムラフェニブ(vemurafenib)が承認された.ベムラフェニブはダカルバジン(dacarbazine:DTIC)との比較において全生存期間,無増悪生存期間,奏効率のすべてで上回った薬剤であり,進行期悪性黒色腫に対する治療を改善させた.しかし,ベムラフェニブの問題点として,BRAF遺伝子変異を有する症例のみが適応となるため,白人と比較してBRAF遺伝子変異の割合が少ない日本人にとって適応症例は限られてしまう.また,BRAF遺伝子変異症例に対して投与された場合は高い奏効率,速やかな効果を示すものの,ほぼ必発と考える副作用や薬剤耐性獲得の問題も生じてくる.今後,より安全で効果的な薬剤投与のためには,副作用に対する対策はもちろんのこと,免疫チェックポイント阻害薬との使い分け,さらに現時点で本邦未承認であるMEK阻害薬との併用など,より効果的な薬剤投与方法の確立が望まれる.
BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に対して本邦で2014年12月にBRAF阻害薬ベムラフェニブ(vemurafenib)が承認された.ベムラフェニブはダカルバジン(dacarbazine:DTIC)との比較において全生存期間,無増悪生存期間,奏効率のすべてで上回った薬剤であり,進行期悪性黒色腫に対する治療を改善させた.しかし,ベムラフェニブの問題点として,BRAF遺伝子変異を有する症例のみが適応となるため,白人と比較してBRAF遺伝子変異の割合が少ない日本人にとって適応症例は限られてしまう.また,BRAF遺伝子変異症例に対して投与された場合は高い奏効率,速やかな効果を示すものの,ほぼ必発と考える副作用や薬剤耐性獲得の問題も生じてくる.今後,より安全で効果的な薬剤投与のためには,副作用に対する対策はもちろんのこと,免疫チェックポイント阻害薬との使い分け,さらに現時点で本邦未承認であるMEK阻害薬との併用など,より効果的な薬剤投与方法の確立が望まれる.
参考文献
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