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増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016 5.皮膚科医のための臨床トピックス
悪性黒色腫のセンチネルリンパ節生検の意義—MSLT-Iの最終結果
著者: 林宏一1 宇原久1
所属機関: 1信州大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.170 - P.172
文献購入ページに移動2014年,悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SNB)の有用性を評価するための国際的な臨床試験Multicenter Selective Lymphadenectomy Trial(MSLT)-Ⅰの最終結果が報告された.腫瘍の厚さが1.2〜3.5mmあるいは>3.5mmで臨床的に転移のない症例に対してSNBを行い,転移が認められた場合に直ちにリンパ節郭清を行う群と,SNBを行わずに経過を観察し,臨床的に転移が明らかになった時点で郭清を行う群を比較した.SNB群と経過観察群の間に10年疾患特異的生存率の差は確認できなかった.一方,10年無再発生存率はSNB群が勝っていた.また1.2〜3.5mmの群に限れば,SNB群は10年無遠隔転移生存率と疾患特異的生存率において経過観察群に勝っていた.また本試験で,センチネルリンパ節における転移の有無は重要な予後因子であることが確認された.しかし,この結果については疾患特異的生存率に差がなかったこととSNB後の根治的郭清によるリンパ浮腫の問題からSNBの意義について疑問を呈する意見もある.SNBの治療的な意義についてはもう少し検証が必要と思われる.
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