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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻6号

2016年05月発行

文献概要

症例報告

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例

著者: 明石顕1 植木理恵1 山下史記1 梁広石2

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター皮膚科 2順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター総合診療科

ページ範囲:P.379 - P.382

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要約 27歳,男性.2010年11月,下肢に瘙痒伴う紅褐色斑が多発した.近医にてステロイド内服・外用で加療されたが再発を繰り返し,全身に拡大したため,4月上旬に当院皮膚科受診した.皮膚症状は内服・外用で改善したが,4月中旬に左下肢の腫脹と疼痛が出現し,蜂窩織炎を疑い抗生剤内服を開始した.1週間後に両側足関節腫脹,下肢痛で歩行困難となった.好酸球数増加,下肢感覚低下,胸部X線で両肺野にスリガラス陰影を認め,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)の疑いで入院した.皮膚生検で血管周囲に著明な好酸球浸潤,肉芽腫性変化を認め,下肢の単神経炎所見を伴いEGPAと診断した.入院後3日間ステロイドパルスを施行し,プレドニゾロン(PSL)60mg内服を開始した.下肢感覚,皮膚症状とも改善し,PSL 40mgで退院した.EGPAは治療が遅れると症状が遷延するため,早期発見・治療が必要である.アレルギー性鼻炎の基礎疾患があり,瘙痒を伴う皮疹が初発したEGPAは少ないため報告した.

参考文献

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8) 中島武之,他:皮膚 41:666, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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