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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻6号

2016年05月発行

文献概要

症例報告

粉瘤との鑑別を要した耳垂のMerkel細胞ポリオーマウイルス陽性Merkel細胞癌の1例

著者: 遠藤嵩大1 尾崎由美1 葉山惟大1 天貝純郁1 鈴木啓之1 照井正1 片野晴隆2

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野 2国立感染研究所感染病理部

ページ範囲:P.427 - P.430

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要約 81歳,女性.初診の約2か月前から左耳垂のしこりを自覚した.近医で粉瘤を疑われ,皮膚切開,抗菌薬内服でも改善しないため,当院に紹介され受診した.初診時,左耳垂に暗紅色の直径12mm大の球状皮下結節がみられた.病理組織学的所見では,表皮直下から皮下脂肪織にかけて結節状に増殖する腫瘍塊がみられる.腫瘍細胞はN/Cの高い細胞であった.免疫染色でCK20が腫瘍細胞の細胞質にドット状に陽性であった.Merkel細胞癌T1cN0M0 Stage IAと診断し,全切除後に放射線療法を行った.術後約1年半が経過したが,局所再発や転移はない.腫瘍細胞から抽出したDNAのPCR解析でMerkel細胞ポリオーマウイルスが検出された.またMerkel細胞ポリオーマウイルスLarge T抗原に対する抗体を用いた免疫染色で腫瘍細胞は陽性であった.過去の耳垂報告例でも粉瘤様であったものが2例あり,耳垂では粉瘤様の外観を示す可能性があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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