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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻6号

2016年05月発行

文献概要

症例報告

重症虚血肢に生じた壊死性筋膜炎の1治療例

著者: 牧野公治1 緒方亜紀12 中村香代12 久保陽介1 田中睦郎3 岡本実3 大島秀男4 山下直子5 尹浩信2

所属機関: 1国立病院機構熊本医療センター皮膚科 2熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学分野 3国立病院機構熊本医療センター心臓血管外科 4国立病院機構熊本医療センター形成外科 5にしくまもと病院皮膚科

ページ範囲:P.442 - P.446

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要約 76歳,女性.左片麻痺・感覚障害を有するが歩行可能.転倒を契機に左足G群レンサ球菌性壊死性筋膜炎を発症し当院に入院した.足底の切開およびペニシリン系抗菌薬とクリンダマイシンの大量投与で全身状態は改善したが左足底筋膜が露出する潰瘍が残った.左ABIは0.49,膝以下のSPPは19〜23mmHg,造影CTで両側浅大腿動脈の閉塞がみられた.下肢切断を検討したが術後の歩行困難が予想され,本人も患肢温存を希望したので32日間持続陰圧洗浄療法を行った.足底筋膜はほぼ肉芽で覆われ,潰瘍も大幅に縮小した.その後左大腿〜膝窩動脈バイパス術および総腸骨動脈血管形成術とパッチグラフト全層植皮術を行い潰瘍は治癒した.自験例では虚血肢の感染創に持続陰圧洗浄療法を行ったが,血行再建術前でも潰瘍が改善したこと,有痛性の処置を減らせたこと,手術に向けて十分な準備ができたことに意義があった.

参考文献

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10) 生方公子:http://strep.umin.jp/index.html :2015.6.14閲覧

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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