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症例報告
歯科金属除去で皮疹が改善し全身型金属アレルギーが疑われた2例
著者: 坂井博之1 野村和加奈1
所属機関: 1市立旭川病院皮膚科
ページ範囲:P.471 - P.476
文献購入ページに移動要約 症例1:70歳,男性.初診の約2か月前に体幹四肢に多発性の滲出性紅斑が出現した.病理組織学的所見も併せて多形紅斑と診断した.パッチテストで塩化パラジウムと四塩化イリジウムに(+)反応を認めた.症例2:76歳,男性.初診の15年前から慢性湿疹の診断で治療中であったが,10日程前から両足に水疱が多発してきた.パッチテストで塩化第二スズ,塩化第二鉄,塩化亜鉛に(+)反応を認めた.両症例ともに歯科金属をすべて除去したところ皮疹は消失した.付随する歯性病巣感染の関与の可能性は否定できないが,金属パッチテストが陽性で歯科金属除去により皮膚病変が改善した臨床経過から,両症例ともに全身型金属アレルギーと考えた.パッチテストが難治性皮膚疾患の原因検索に有用であることを再確認できた貴重な症例と思われた.
参考文献
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