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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻7号

2016年06月発行

文献概要

症例報告

高齢の腹膜透析患者に発症した急性汎発性膿疱性乾癬の1例

著者: 緋田哲也1 南満芳1 宿理朋哉2 大城由美3

所属機関: 1松山赤十字病院皮膚科 2松山赤十字病院腎臓内科 3松山赤十字病院病理診断科

ページ範囲:P.482 - P.486

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要約 81歳,女性.原因不明の慢性腎不全に対し,初診6か月前より腹膜透析が導入された.3日前から頸部に紅斑が出現したため当科を紹介され受診した.初診時,頸部に径5cmまでの浸潤性紅斑が多発し,紅斑内に小膿疱を多数混じていた.1週後,発熱,全身倦怠感とともに皮疹が全身に拡大したため入院した.病理組織像では,角層下好中球膿疱,Kogoj海綿状膿疱を認め,臨床所見と合わせ,急性汎発性膿疱性乾癬と診断した.プレドニゾロン(PSL)40mg/日投与を開始したところ,皮疹は膜様鱗屑を残しながら軽快し,ジアフェニルスルホン(DDS)を併用のうえPSLを漸減した.その後,消化管アミロイドーシスの合併が判明し,低栄養状態が進行したため,血液透析へ移行した.皮疹は再燃なく経過していたが,全身状態が徐々に悪化し永眠した.腹膜透析中の患者に急激に発症した汎発性膿疱性乾癬の報告はこれまでなく,稀な症例と思われる.

参考文献

1) 岩月啓氏:医学のあゆみ 230:991, 2009
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4) Maleville J, et al:Ann Dermatol Syphiligr(Paris) 103:593, 1976
5) 平本哲夫,他:皮膚臨床 38:1708, 1996
6) Mabuchi T, et al:J Dermatol 41:521, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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