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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻7号

2016年06月発行

症例報告

多発性骨髄腫に伴うクリオグロブリン血症に対して血漿交換とボルテゾミブが有効であった1例

著者: 佐々木洋香1 伊賀那津子1 遠藤雄一郎1 藤澤章弘1 宮地良樹1 椛島健治1

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.497 - P.502

文献概要

要約 70歳,男性.2005年より,冬になると四肢に紫斑が出現した.血清免疫電気泳動でIgGκ型M蛋白が検出されたが,骨髄像では形質細胞の増加や異型性はなく,IgG κ型良性M蛋白血症とした.また,クリオグロブリン定性が陽性であり,Ⅰ型クリオグロブリン血症と診断した.保温とプレドニゾロン(PSL)内服で症状が改善したため,以降はPSL 5〜10mg/日の内服で外来通院で経過観察していた.2014年9月に四肢の紫斑と潰瘍が突然出現し,PSLを増量しても不応性のため当科入院となった.入院時検査所見では肝腎機能障害を認め,また骨髄穿刺にて多発性骨髄腫との診断に至った.PSL増量したが改善なく,メチルプレドニゾロンでステロイドハーフパルス施行の後,3回の血漿交換で皮疹と肝腎機能は改善し全身状態は安定した.多発性骨髄腫はPSLとボルテゾミブの加療が有効であり,以降,皮疹の再燃はなかった.基礎疾患を伴うクリオグロブリン血症では,対症療法に加えて基礎疾患の治療が必要不可欠である.

参考文献

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適正使用ガイド.2013年5月5版

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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