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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻8号

2016年07月発行

文献概要

今月の症例

ポリガンマグルタミン酸によるアナフィラキシーの1例

著者: 織田好子1 一角直行1 堀川達弥1 猪又直子2

所属機関: 1西神戸医療センター皮膚科 2横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科

ページ範囲:P.558 - P.561

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要約 41歳,男性.約10年前から全身の蕁麻疹・血圧低下・呼吸困難感などのアナフィラキシー症状を繰り返し,そのたびにエピペン®の自己注射を行っていた.さまざまな病院で多数の食品のプリックテストやスクラッチテスト,血清特異IgE抗体の検査を受けたが,長い間原因不明であった.今回,納豆摂取の2時間後に呼吸困難感が生じたため,納豆およびポリガンマグルタミン酸(poly gamma-glutamic acid:PGA)のプリックテストを施行したところ,両者で陽性であった.患者はサーファーであり,過去に頻回のクラゲ刺傷歴があった.PGAは冷やし中華のスープや種々の調味料などに含まれており,自験例の過去のアナフィラキシーのエピソードの中にもそれらを摂取して発症していた可能性が疑われた.クラゲ刺傷既往のある原因不明のアナフィラキシー患者の原因抗原としてPGAを考慮する必要があると考える.

参考文献

1) 金子 栄,森田栄伸:皮膚病診療 31:69, 2009
2) Inomota N, et al:J Allergy Clin Immunol 113:998, 2004
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9) 堀向健太,他:小児科臨床 64:1659, 2011
10) Inomata N, et al:Ann Allergy Asthema Immunol 94:402, 2005
11) Inomata N, et al:J Dermatol 41:752, 2014
12) Inomata N, et al:Allergol Int 60:393, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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