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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻8号

2016年07月発行

症例報告

陰茎亀頭部に生じた有棘細胞癌の1例

著者: 宇都宮慧1 飯野志郎1 馬場夏希1 知野剛直1 高嶋渉1 徳力篤1 長谷川稔1

所属機関: 1福井大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.597 - P.601

文献概要

要約 63歳,男性.10年前に亀頭部に紅斑が出現し,緩徐に増大してきた.初診時には亀頭部全体にびらんを伴う紅斑がみられ,病変は外尿道口まで及んでいた.皮膚部分生検でQueyrat紅色肥厚症を疑い,拡大切除術を施行した.摘出標本中に腫瘍細胞の海綿体への浸潤がみられ,陰茎亀頭部に生じた有棘細胞癌と診断した.PCR法にてHPV16型が検出され,腫瘍発生への関与が示唆された.NCCNの陰茎癌診療ガイドラインを参考に,追加で陰茎部分切断術およびセンチネルリンパ節生検術を施行した.切除標本の断端は陰性で,センチネルリンパ節に腫瘍細胞の転移はみられなかった.現在まで再発・転移はなく,排尿機能も保たれており,良好な結果を得た.自験例ではセンチネルリンパ節生検を施行し,腫瘍の広がりを適切に評価することで鼠径部郭清を回避でき,治療侵襲を最小限にすることができた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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