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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻8号

2016年07月発行

文献概要

症例報告

ベムラフェニブが短期間奏効した陰茎原発のStage Ⅳ悪性黒色腫の1例

著者: 溝上沙央里1 猿田寛1 今村太一1 井上義彦1 古村南夫1 大畑千佳1 森崎隆2 名嘉眞武国1

所属機関: 1久留米大学医学部皮膚科 2福岡がん総合クリニック

ページ範囲:P.612 - P.616

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要約 40歳,男性.原発部位は陰茎,pT3bN3M0病期ⅢCと診断し術後DAV Feron療法を5クール施行した.IFN-β療法を継続していたが,術後10か月の時点で脳,両肺に転移を認めた.DAC療法を2クール施行したが,転移巣は増大し肝臓にも新たに転移を認めた.以上の治療法で有効性が得られず,原発巣のBRAF V600E変異を認めたため,ベムラフェニブ1,920mg/日の連日投与を開始した.投与1か月後に脳・肺・肝の転移巣は縮小した.合併症として投与2か月で著明な関節痛および頰部にケラトアカントーマが生じた.その後,投与4か月で肝転移巣が著明に増加し,投与5か月で永眠した.近年,本邦でも進行期悪性黒色腫に対する新規薬剤の承認が進んでいるが使用報告は少ない.今後症例を蓄積することでより有効で安全な治療法を検討していくことが必要である.

参考文献

1) 山崎直也:日本臨牀 71(増刊4):388, 2013
2) Chapman PB, et al:N Engl J Med 364:2507, 2011
3) Flaherty KT, et al:N Engl J Med 367:1694, 2012
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5) Robert C, et al:N Engl J Med 372:30, 2015
6) Menzies AM, et al:Clin Cancer Res 20:2035, 2014
7) Sakaizawa K, et al:J Dermatol Sci 80:33, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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