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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻9号

2016年08月発行

症例報告

インフリキシマブ投与によりADLの著明改善が得られた若年の関節症性乾癬の1例

著者: 種本紗枝1 佐藤美聡1 稲積豊子1 倉林博敏2

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会立川病院皮膚科 2国家公務員共済組合連合会立川病院整形外科

ページ範囲:P.679 - P.683

文献概要

要約 20歳,男性.2008年7月(14歳時)に膝関節痛が出現し,若年性関節リウマチの診断でサラゾスルファピリジン,プレドニゾロン,メトトレキサート,タクロリムス投与歴がある.2011年3月(17歳時)頃から,皮疹が出現しステロイド外用加療をしていた.2014年11月当院受診時,全身の関節痛,下肢の屈曲拘縮著明であった.軀幹四肢には辺縁に浸潤を触れる粟粒大から母指頭大までの鱗屑に乏しい紅斑が多発癒合し局面を形成し,爪病変を認めた.CASPAR分類で3点以上であり,関節症性乾癬と診断し,インフリキシマブを投与した.投与翌日より関節痛は軽減し,6週後には自立歩行可能となった.関節症性乾癬の大半は,皮疹が先行し関節痛が続発するが,稀に関節痛が先行することもあり,関節痛が関節症性乾癬の症状と認識されない場合もある.早期診断し,不可逆的な関節破壊やADL(activities of daily living)低下に至る前に治療を開始することが重要であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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