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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻9号

2016年08月発行

症例報告

皮膚体表超音波での深達度評価が術式決定に有用であった耳介後面の基底細胞癌の1例

著者: 若林祐次郎1 山本洋輔1 高田紗奈美1 中川誠太郎1 岩澤真理1 神戸直智1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.695 - P.699

文献概要

要約 78歳,男性.2011年より左耳介後面に黒色腫瘤を自覚し,徐々に増大傾向にあった.初診時,左耳介後面に25×23×8mmの下床との可動性に乏しく,中央に潰瘍を伴う黒色腫瘤を認め,腫瘤辺縁には蝋様光沢を有する結節が認められた.ダーモスコープにてarborizing vessels, blue-gray ovoid nests, shiny white areasが認められ,基底細胞癌と診断した.腫瘍の深達度を確認するために術前に皮膚体表超音波(エコー)を施行したところ,腫瘍の厚さは最深部で8.6mmに至るものの耳介軟骨への浸潤の所見はなかった.手術においても耳介軟骨に浸潤はなく,耳介軟骨直上にて容易に腫瘍を剝離することができ,摘出標本でも切除断端は陰性であった.自験例では術前の皮膚体表エコーにて耳介後面の基底細胞癌が耳介軟骨に浸潤していないことを確認し,耳介軟骨を温存できたことから,腫瘍の深達度評価において術前エコーが有効であると考えた.

参考文献

1) Barcaui Ede O, et al:An Bras Dermatol 89:828, 2014
2) 川村 愛,他:Derma 79:1, 2003
3) 宇原 久,他:臨皮 62(増刊):76, 2008
4) Bobadilla F, et al:Cancer Imaging 8:163, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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