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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻9号

2016年08月発行

文献概要

症例報告

MST-16/VP-16併用療法が奏効した腫瘍期菌状息肉症の1例

著者: 桐山徳子1 八木宏明2 長谷哲男3

所属機関: 1東京医科大学皮膚科学分野 2静岡県立総合病院皮膚科 3東京医科大学八王子医療センター皮膚科

ページ範囲:P.700 - P.704

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要約 39歳,女性.7年前から体幹に紅斑が出現した.徐々に,顔面,四肢に増数拡大し,一部では紅色腫瘤を呈した.生検にて腫瘍期菌状息肉症(mycosis fungoides:MF)と診断した.ソブゾキサン(MST-16)単剤では効果なく,MST-16とエトポシド(VP-16)併用療法に変更した.光線療法併用にて体幹,四肢の紅斑,紅色局面はほぼ色素沈着となり,腫瘤は多くが消失した.現在22か月の寛解を維持している.MF腫瘍期では標準的治療法が確立されていない.CHOP療法などの多剤併用化学療法は,一度は完全寛解(complete remission:CR)に至っても完全寛解維持が難しい.VP-16/MST-16併用療法は末梢T細胞リンパ腫や成人T細胞白血病・リンパ腫の維持療法としてだけでなく,リンパ節浸潤を伴う腫瘍期MFの寛解導入治療の選択肢の1つとして期待される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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