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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻9号

2016年08月発行

文献概要

症例報告

多彩な皮疹を呈したYersinia pseudotuberculosis感染症の1例

著者: 伊集院景子1 山本篤志1 神吉晴久1 西井径子2

所属機関: 1兵庫県立淡路医療センター皮膚科 2西宮市立中央病院皮膚科

ページ範囲:P.711 - P.716

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要約 10歳,女児.2010年5月下旬より全身倦怠感,38℃台の発熱や腹痛,肝機能障害および手掌や足底に紅斑が出現したため当科を紹介受診した.クラリスロマイシン投与で症状はいったん改善したものの,12日後より発熱が再燃し,両下腿に結節性紅斑様皮疹が出現した.入院および抗生剤の変更(ミノマイシン,セフメタゾール)を行い,皮疹は約10日で四肢の膜様落屑を残し改善した.各種ウィルス抗体価の測定ではHBV,HCV,HSV,CMV,ヒトパルボウイルスB19抗体価は陰性.EBVは既感染パターンであった.5月下旬とその2週間後のペア血清で,エルシニア抗体価の上昇を認めたためエルシニア感染症と診断した.発熱と腹痛,また結節性紅斑様皮疹や膜様落屑など多彩な皮疹を呈する小児を診察した場合は,井戸水の飲水や動物との接触がなくてもエルシニア感染症も鑑別に挙げて精査を進めるべきである.

参考文献

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13) Sato K:Pediatr Infect Dis J 7:686, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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