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症例報告
炎症性粉瘤に類似した臨床像を呈した皮膚黒色菌糸症の1例
著者: 田中諒1 齋藤京1
所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科
ページ範囲:P.717 - P.720
文献購入ページに移動要約 83歳,男性.既往歴に糖尿病があった.初診1年前より右手背に皮膚腫瘤が出現し,増大傾向があり,当院を受診した.受診時,右手背に3cm大の弾性硬の皮膚腫瘤があり,表面は淡紅色,中央に痂皮を伴っていた.痂皮のある部位から少量の排膿があった.皮膚病理組織学的所見で真皮に線維性結合織で囲まれた化膿性肉芽腫が形成されており,深層では膿瘍を形成する3層構造を示した.肉芽腫,膿瘍には隔壁を有する褐色菌糸と円形細胞の連鎖したトルラ菌糸があった.以上より黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)と診断した.臨床像,単純MRI画像所見からは粉瘤との鑑別が困難であり,病理組織学的に診断することができた.慢性的な排膿を伴う皮膚腫瘤を診察した場合,鑑別の1つに黒色菌糸症を挙げる必要があると考えた.
参考文献
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