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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻9号

2016年08月発行

文献概要

症例報告

鼻部の紅斑が初発症状であったALアミロイドーシスの1例

著者: 志水陽介1 中村元泰1 伊藤崇1 鷲崎久美子1 関東裕美1 福永俊二2 鏑木誠3 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院皮膚科 2東邦大学医療センター大森病院循環器内科 3東邦大学医療センター大森病院リウマチ膠原病センター

ページ範囲:P.725 - P.728

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要約 66歳,女性.約1年前から鼻部に紅斑を自覚し,近医にて加療を受けたが改善がみられず,当科を受診した.初診時,鼻背部,鼻翼部,眉間部に爪甲大までの浸潤を触れる紅斑がみられた.鼻背部紅斑の皮膚生検では,HE染色にて真皮全層に好酸性物質の沈着がみられ,沈着物質はCongo red染色,DFS染色,PAS染色陽性,抗AA抗体陰性であり,過マンガン酸処理でCongo red染色性の減弱はみられなかった.以上よりALアミロイドーシスと診断した.当科初診44日後に,心アミロイドーシスによる心室細動をきたし永眠した.自験例は紫斑を伴わず,全身性アミロイドーシスとしては非典型的な皮膚症状であった.過去の全身性アミロイドーシスの死亡報告例を検討したところ,心アミロイドーシス非合併例において,紫斑を呈する症例では生命予後が短い傾向がみられ,紫斑が血管へのアミロイド沈着と臓器症状の進展を反映している可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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