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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻1号

2017年01月発行

症例報告

足趾潰瘍を契機に診断された本態性血小板血症の1例

著者: 田口麻莉1 村上克彦1 前川直輝1 國行秀一1 中尾隆文2

所属機関: 1大阪市立総合医療センター皮膚科 2大阪市立総合医療センター血液内科

ページ範囲:P.23 - P.26

文献概要

要約 66歳,男性.約2か月前から左第5趾に発赤,灼熱感が出現し,徐々に潰瘍を形成したため当科を紹介され受診した.初診時,同部位に約8mm大の皮膚潰瘍があり,周辺皮膚は紫紅色調を呈していた.血液検査にて白血球上昇と著明な血小板高値を認めた.骨髄所見およびJAK2 V617F遺伝子変異陽性であったことにより,本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET)と診断した.皮膚潰瘍はETに伴うものと考え,ハイドロキシウレア(HU)とアスピリンの内服を開始したところ,血小板数の正常化に伴い足趾の潰瘍も完全に上皮化した.ETは出血症状や潰瘍など多彩な皮膚症状を合併するほか,頭痛やめまい,胸痛,指先の知覚異常などの症状がみられるが,無症状であることも多く,診断が遅れる場合もある.しかし,重篤な出血症状や血栓塞栓症を合併することがあり,早期診断と高リスク群においては,HUなどによる早期治療が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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