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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻1号

2017年01月発行

文献概要

症例報告

抗ラミニンγ1類天疱瘡の1例

著者: 堤美穂1 峠岡理沙1 中川有夏1 上田有希子1 張財源1 益田浩司1 加藤則人1 立石千晴2 鶴田大輔2 橋本隆3

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学 2大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学 3久留米大学皮膚細胞生物学研究所

ページ範囲:P.37 - P.42

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要約 65歳,男性.初診4日前から発熱および顔面の緊満性水疱と口腔内のびらんが出現し,全身に水疱が拡大したため,当科を受診した.血液検査で抗デスモグレイン1抗体,抗デスモグレイン3抗体,抗BP180抗体は陰性.病理組織学的所見では表皮下水疱があり,表皮真皮境界部に好中球主体の浸潤があった.蛍光抗体直接法で真皮表皮境界部にIgGとC3が沈着し,蛍光抗体間接法でIgG抗表皮基底膜部抗体が陽性,1M食塩水剝離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法で真皮側に反応した.真皮抽出液を用いた免疫ブロット法では患者血清のIgGは200kDaラミニンγ1に反応した.以上より抗ラミニンγ1類天疱瘡と診断した.ステロイド全身投与を行い,速やかに皮疹が消失し再燃を認めなかった.本疾患では自験例のように重篤な粘膜疹を合併する場合があることに留意する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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