文献詳細
症例報告
文献概要
要約 17歳,女性.生理不順なし.約3年前から仙骨部に結節を認め,時々排膿を伴っていた.症状が改善しないため手術目的で当科を紹介され受診した.初診時,仙骨部に47×25mmの結節を認めた.弾性硬で下床との可動性は良好だった.上方には紅色肉芽組織があり,全摘術を施行した.術中に瘻孔とその中に毛塊を認めた.病理組織学的に,表皮と連続性に真皮中層から深層に瘻孔があり,瘻孔周囲に毛細血管の増生と組織球を混じた好中球,形質細胞主体の炎症細胞浸潤を伴っていた.瘻孔内部には毛塊や角化物が認められた.Pilonidal sinus(毛巣洞)に合致する所見であった.性ホルモン異常などの基礎疾患や肥満がなくとも,多毛がある場合,または多毛がなくとも何らかの毛と接触し,かつ外的刺激を受ける環境により,女性においても本症を発症することが再認識された.
参考文献
1) Mayo CW et al:Proc Mayo Clin 35:175, 1960
2) Bunker CB, Neill SM:Rook's Textbook of Dermatology, 8th ed, ed by Tony B, et al, Wiley-Blackwell, p71, 87, 2010
3) 高橋毅法,他:皮膚臨床 42:1099, 2000
4) 山田七子,他:西日皮膚 58:974, 1996
5) 杉浦光洋,大原國章:Visual Dermatol 3:860, 2004
6) 岸本和裕:皮膚臨床 47:1353, 2005
7) Ito A, et al:J Dermatol 40:1051, 2013
8) 出雲博子:Medicina 46:858, 2009
掲載誌情報