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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻10号

2017年09月発行

文献概要

症例報告

クリオピリン関連周期熱症候群の1例

著者: 宮田龍臣1 竹中祐子1 葉山愛弥1 石黒直子1 宮前多佳子2 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター

ページ範囲:P.783 - P.786

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要約 24歳,男性.幼少期より発熱,関節痛を伴う蕁麻疹様紅斑の出現を繰り返していた.初診時,38℃台の発熱,四肢に瘙痒を伴わない大豆大までの浮腫性紅斑が多発散在していた.血液学的に,WBC 10,510/ml,CRP 2.44mg/dlと炎症反応の上昇を認めた.フェリチンの上昇はなく,抗核抗体は陰性であった.紅斑の病理組織像では,真皮上中層に浮腫があり,血管周囲にリンパ球が浸潤し,膠原線維間に好中球が散見された.当初,家族性地中海熱を疑い,コルヒチン1.0mg/日を開始するも軽快はみられなかった.その後,遺伝子検査にてNLRP3の遺伝子変異を検出した.クリオピリン関連周期熱症候群と診断し,プレドニゾロン30mg/日内服とカナキヌマブの投与にて軽快を認めた.クリオピリン関連周期熱症候群は,NLRP3遺伝子異常によりIL-1βの過剰産生をきたす遺伝性自己炎症症候群である.幼少期からの周期熱と瘙痒のない蕁麻疹様紅斑を呈す場合には本症を疑い,遺伝子学的検討を含めた精査が必要であると考える.

参考文献

1) Kastner DL, et al:Cell 140:784, 2010
2) McDermott MF, et al:Cell 97:133, 1999
3) 平家俊男(研究代表):難治性疾患等克服研究事業自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立平成25年度総括・分担研究報告書,p91, 2014
4) Hoffman HM, et al:Nat Genet 29:301, 2001
5) Neven B, et al:Nat Clin Pract Rheumatol 4:481, 2008
6) 金澤伸雄:Derma 228:1, 2015
7) 神戸直智:Derma 194:63, 2012
8) 秀 道広,他:日皮会誌 121:1339, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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