icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻10号

2017年09月発行

症例報告

皮膚原発乳房外Paget病と直腸癌によるPaget現象の併発と考えた1例

著者: 齋藤京1 内ヶ崎周子2 杉山裕子3

所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科 2いとう医院 3がん研究会有明病院婦人科

ページ範囲:P.803 - P.807

文献概要

要約 83歳,女性.外陰部左側と肛門左側にびらんを伴う局面.組織学的に外陰部の表皮内には大型細胞の増殖があり,肛門部は大型細胞に加え印環細胞が多数混じて認められ,また,毛包に沿った深部はほとんどが印環細胞で,大型細胞は少なかった.CK7,CK20,CDX2の免疫組織学的検査で外陰部はCK7(+),CK20(−),CDX2(−),肛門部は,CK7(±),CK20(+),CDX2(+)であり,自験例を皮膚原発の乳房外Paget病(EMPD)と続発性Paget現象を併発した稀な症例と考えた.近年,皮膚原発EMPDと続発性Paget現象の鑑別にCK7,CK20,さらにはCDX2の染色パターンの解析の有用性が認知されつつある.その一方で,染色パターンの解析が臨床経過と不一致だった報告もあり,染色パターンをどこまで重視するか,臨床経過と一致しない場合にどのように解釈するかに関しては今後の議論の余地がある.

参考文献

1) Acherman AB:Differential diagnosis in dermatopathology. Ⅲ, Lea & Febiger, Philadelphia, p130, 1993
2) 小松威彦,他:日皮会誌 99:985, 1989
3) 小松威彦:日皮会誌 99:991, 1989
4) 清水智子,他:臨皮 57:506, 2003
5) 明石 顕,他:臨皮 70:73, 2016
6) 池本千花,他:臨皮 70:67, 2016
7) 姚 思遠,他:日臨外会誌 74:3430, 2013
8) 藤 浩明,他:日臨外会誌 75:1016, 2014
9) 岩城孝和,他:新潟医学会誌 129:692, 2015
10) 久保田典子,他:皮膚臨床 56:1189, 2014
11) Inose T et al:Surg Today 42:697, 2012
12) 松田芳和,他:皮膚臨床 53:299, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら