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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻10号

2017年09月発行

症例報告

小児に生じた明細胞肉腫の1例

著者: 宮下和也1 小川浩平1 飯岡弘至1 宮川史1 福本隆也1 桑原理充2 武田麻衣子3 大林千穂3 浅田秀夫1

所属機関: 1奈良県立医科大学皮膚科学教室 2奈良県立医科大学付属病院形成外科 3奈良県立医科大学病理診断学講座

ページ範囲:P.819 - P.824

文献概要

要約 7歳,男児.右踵部外側に皮下結節が出現し,徐々に増大したため,単純切除術を施行した.病理組織学的には,主に皮下に結節性病変を認め,好酸性の胞体をもつ類円形の腫瘍細胞が胞巣を形成して増殖する領域と,紡錘形細胞が束状に増殖する領域から構成されていた.腫瘍細胞には核分裂像,核の大小不同,明瞭な核小体も認め,胞巣内には多核巨細胞を散見した.Fontana-Masson染色でメラニンを確認した.免疫組織化学染色では,S100蛋白,Melan A,HMB45が腫瘍細胞に陽性となった.FISH法でEWSR1遺伝子の転座が示唆され,RT-PCR法で融合遺伝子EWSR1-ATF1を検出し,明細胞肉腫と診断した.単純切除後,3cmマージンをとり拡大切除を施行した.現在7年が経過し,再発や転移は認めていない.自験例では,病理組織学的所見に加えて,FISH法やRT-PCR法が明細胞肉腫の診断に有用であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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