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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻11号

2017年10月発行

今月の症例

重症蜂窩織炎と敗血症を合併したelephantiasis nostras verrucosaの1例

著者: 岡本修1 山代栄士2 進来塁3 草津真菜美3 蒲池綾子4 葛城功5 稲垣伸洋6 橋本裕之3

所属機関: 1大分市医師会立アルメイダ病院皮膚科 2大分市医師会立アルメイダ病院薬剤部 3大分市医師会立アルメイダ病院形成外科 4大分市医師会立アルメイダ病院病理部 5大分市医師会立アルメイダ病院内分泌内科 6大分市医師会立アルメイダ病院救急科

ページ範囲:P.862 - P.868

文献概要

要約 46歳,男性.以前より高度の肥満あり.39℃台の発熱と左下肢の有痛性の腫脹で入院となった.身長170cm,体重219kg,body mass indexは75.7と極度の肥満を認めた.左下腿は高度に腫脹し,乳頭状に増殖した表皮が敷石状を呈していた.プロカルシトニン値は171ng/mlで,抗フィラリア抗体は陰性であった.Elephantiasis nostras verrucosa(ENV)に蜂窩織炎と敗血症を合併した症例と診断し,大量の抗菌薬投与で症状,検査値は改善した.リンパ管シンチグラフィーを行うと運動後にリンパ流は認められるものの,安静にすると患側のリンパ流が消失した.自験例は極度の肥満者のENVに発症した敗血症を伴った重症の蜂窩織炎で,高度なリンパ浮腫の存在と,局所の不潔環境を放置したために重症化したと考えた.治療に関して,高度肥満者の有効な抗菌薬の投与量を見積もる上で補正体重の算出が有用であった.極度の肥満者の少ない本邦では自験例は稀な重症感染例と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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