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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻11号

2017年10月発行

文献概要

症例報告

右下腿潰瘍を伴ったサルコイドーシスの1例

著者: 江原佳恵1 西本周平1 畑康樹1 濱中伸介2

所属機関: 1済生会横浜市東部病院皮膚科 2済生会横浜市東部病院呼吸器内科

ページ範囲:P.889 - P.893

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要約 86歳,女性.当科初診1年半前より労作時呼吸困難があり,縦隔・肺門部リンパ節腫脹,末梢肺野結節影を認めた.アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)とリゾチームは高値であった.縦隔リンパ節生検でサルコイドーシスと診断され,当院呼吸器内科で無治療経過観察中だった.当科初診2か月前より右下腿屈側に軽度の疼痛を伴う潰瘍を生じ,近医で抗潰瘍薬を外用したが難治なため当科を紹介され受診した.同部位に壊死組織を伴う比較的境界明瞭,虫食い状,小豆大の潰瘍を認めた.各種抗潰瘍薬を外用したが難治なため皮膚生検を施行した.潰瘍底の真皮浅層から中層の血管周囲に類上皮細胞,巨細胞を混じる肉芽腫があり,サルコイドーシスに伴う下腿潰瘍と診断した.ステロイド外用で改善に乏しく,ステロイド内服し,潰瘍は内服26週で上皮化した.皮膚サルコイドで潰瘍を生じるものは稀だが,難治性下腿潰瘍をみた際にはサルコイドーシスを鑑別に加える必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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