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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻11号

2017年10月発行

文献概要

症例報告

両側乳房の減量術と乳頭・乳輪遊離移植術を施行した良性対称性脂肪腫症の1例

著者: 林みゆき1 持田耕介1 酒井邦夫2 天野正宏1

所属機関: 1宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野 2酒井皮膚科医院

ページ範囲:P.912 - P.918

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要約 53歳,男性.約30年間のアルコール多飲歴がある.初診6年前に近医にて頸部の脂肪腫を切除された.初診時,後頭部から頸部にかけて弾性軟の皮下腫瘍があり,buffalo hump様の特異な外観を呈していた.MRIで脂肪腫と診断し,可及的に皮下腫瘍摘出術を施行し,病理組織学的に異型性のない成熟脂肪細胞の増生を認めた.臨床所見と合わせて良性対称性脂肪腫症と診断した.その後,両側上腕,両肩,下腹部の脂肪腫を切除した.初診から10年後,両側乳房が巨大化し,経過と触診から脂肪腫と診断した.翌年,両側乳房の脂肪腫の切除を希望したため可及的に切除し,乳頭・乳輪は乳頭・乳輪遊離移植術を用いて再建した.乳頭・乳輪を再建できたため,術後,患者の満足が得られた.渉猟しえた限り両側乳房に良性対称性脂肪腫症による巨大な脂肪腫病変が生じた報告は少なく,文献的考察を含めて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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