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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻12号

2017年11月発行

文献概要

症例報告

外頸静脈に発症したvenous aneurysmの1例

著者: 生野由起1 田中隆光1 多田弥生1 大西誉光1 渡辺晋一1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.981 - P.984

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要約 59歳,男性.6か月前に右鎖骨部に自覚症状のない結節が出現し徐々に増大した.2か月前より疼痛が出現した.同部に外傷や中心静脈カテーテル挿入などの既往はない.右鎖骨上窩に25×20mm大のなだらかに隆起する常色の皮下結節を認めた.外頸静脈上にあり,体位による変化や結節の拍動は認めなかった.超音波検査では,結節は皮下に位置する低エコーの単房性で,内部エコーは同心円状を呈し,後方エコーは増強,側方エコーは認めなかった.カラードプラーでは結節内部には血流はなく,外頸静脈に接していた.全切除した病変の病理組織像では,赤血球,フィブリンを容れる類円形の囊腫を認めた.囊腫壁内側に血管内皮細胞を認め,CD34陽性だった.術後は合併症もなく,再発も認めていない.Venous aneurysmは比較的稀な疾患であるが,側頸部に軟らかな皮下結節をみた際には考慮し,超音波検査など施行し,血流や外頸静脈との位置と関係を確認する必要があると考える.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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