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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻12号

2017年11月発行

症例報告

腹部に生じた筋上皮腫の1例

著者: 箕輪智幸1 栁澤健二1 加賀谷真起子1 髙橋博之1 後藤田裕子2

所属機関: 1JA北海道厚生連札幌厚生病院皮膚科 2JA北海道厚生連札幌厚生病院病理診断科

ページ範囲:P.991 - P.996

文献概要

要約 69歳,女性.初診1年前より下腹部に疼痛などの自覚症状を欠く皮下腫瘤を自覚するも放置していたところ,徐々に増大したため当科を受診した.初診時,恥骨上に100×60mm大のドーム状に隆起する可動性良好で紅斑を伴う腫瘤を認めた.切除後,病理組織学的に真皮から皮下組織にかけて粘液腫状の間質を背景に,好酸性の胞体をもつ類円形細胞の網目状の増殖を認め,免疫組織染色にてEMA,S100蛋白が陽性,AE1/AE3,GFAP,カルポニン,αSMAが一部陽性であったため筋上皮腫と診断した.切除後,10か月経過時点で再発を認めていない.筋上皮腫は乳腺,唾液腺からの報告が多く,皮膚軟部組織に生じた報告は稀であるが,組織学的に良性であっても局所再発の可能性があるため長期にわたる経過観察が必要と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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