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症例報告
腹筋麻痺を生じた帯状疱疹の1例—本邦報告例の文献的検討
著者: 長谷川道子1 田村敦志1
所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科
ページ範囲:P.1017 - P.1020
文献購入ページに移動要約 69歳,男性.右腹部に紅色皮疹が出現し,7日後に右腹部の膨隆に気づいた.近医で帯状疱疹と診断され,バラシクロビル3,000mg/日内服で加療され,腹部膨隆について当科を紹介された.右Th10〜11領域に痂皮を伴う紅斑が帯状に配列し,Th9〜11領域で腹壁の膨隆を認めた.腹部CT所見で右側の外腹斜筋と内腹斜筋が左側に比べ伸展し菲薄化しており,帯状疱疹に伴う腹筋麻痺と診断した.帯状疱疹関連疼痛やイレウス症状がないため筋力トレーニングを行い,約6か月で腹部膨隆は軽快した.帯状疱疹に伴う運動麻痺は稀な合併症である.過去37年間の本邦報告例を検討したところ,78%で改善を認め,予後は比較的良好であった.
参考文献
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