icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

文献概要

原著

急速進行性円形脱毛症に対する点滴静注ステロイドパルス療法が全身状態に与える影響に関する調査

著者: 佐藤洋平1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1036 - P.1040

文献購入ページに移動
要約 成人の急速進行性円形脱毛症(rapidly progressive alopecia areata:RP-AA)には点滴静注ステロイドパルス療法(パルス療法)が有効とされ,本邦の多くの施設で実施されている.日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインの推奨ステロイド投与量が一般的なパルス療法の半量であるためか同療法が全身状態に与える影響は注目されていない.そこでわれわれの施設でパルス療法を施行した広汎型RP-AA 35例の治療中,治療後の全身症状,臨床検査データの変化を詳細に調査した.有害事象としての不眠,頭痛は投与初日〜2日目,筋緊張・筋痛は投与3日目以降に生じる傾向があった.多くが基準範囲内での変化ではあるが単球数(%),血清Ca値,血清IgG値が投与前と比較し投与4日目に有意に低下した.血清IgG値の低下が実施数か月後まで持続した例もみられた.パルス療法は予想以上に患者の全身状態に影響し,長期的に影響を残す可能性が示唆された.

参考文献

1) 荒瀬誠治,他:日皮会誌 120:1841, 2010
2) Uchiyuama M, et al:J Am Acad Dermatol 67:1163, 2012
3) Nakajima T, et al:Dermatology 215:320, 2007
4) Sato M, et al:J Dermatol 41:957, 2014
5) 山田朋子,他:Skin Surgery 20:143, 2011
6) 佐藤光博,田熊淑男:臨牀と研究 91:459, 2014
7) 大山 学:日皮会誌 123:2239, 2013
8) 伊勢美咲:Visual Dermatol 14:1280, 2015
9) Oikonomou D, et al:BMJ Case Rep 10:1, 2014
10) Sümegi A, et al:Clin Immunol 117:271, 2005
11) 塚本昌子,山岡邦宏:Keynote RA 3:56, 2015
12) Margarson MP, Soni N:Anaesthesia 53:789, 1998
13) 井上善文,他:日生病医誌 32:1, 2004
14) Butler WT, et al:J Clin Invest 52:2629, 1973
15) 本田孝行,他:臨床検査 57:998, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?