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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

文献概要

症例報告

口腔アレルギー症候群が疑われた牛肉による遅発型アナフィラキシーの1例

著者: 佐々木良子1 渡邉章1 堀川永子1 根本利恵子1 天野正宏1 千貫祐子2

所属機関: 1宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野 2島根大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.1047 - P.1051

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要約 65歳,男性.以前からメロン,モモ,キウイ,バナナなどの果物を食べると口腔内違和感や軀幹の蕁麻疹が出現していた.某日13時頃,焼肉屋で牛肉,焼肉のタレ,生野菜,ビール,白飯を摂取した.同日16時頃,腹部に蕁麻疹が出現した.さらに17時頃に呼吸困難感,意識消失発作を起こし近医へ救急搬送された.当初は焼肉のタレに含まれた果物成分による口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)を疑った.しかし抗原特異的IgE検査では牛肉がクラス3,豚肉がクラス2と陽性であり,プリックテストで牛肉,豚肉が陽性を示した.ウエスタンブロット法により,患者血清中にセツキシマブに含まれるgalactose-α-1, 3-galactose(α-gal)糖鎖エピトープを認識すると思われるIgE抗体を検出し,遅発型牛肉アナフィラキシーと診断した.牛肉アレルギーは遅発型アナフィラキシーであること,牛肉や豚肉以外にも注意すべき食物や薬があることを患者にしっかりと指導することが重要である.

参考文献

1) Commins SP, et al:J Allergy Clin Immunol 127:1286, 2011
2) 高橋 仁,他:臨皮 67(増刊):14, 2013
3) 千貫祐子,他:日皮会誌 123:1807, 2013
4) 千貫祐子,森田栄伸:Derma 245:40, 2016
5) Hamsten C, et al:Allergy 68:549, 2013
6) Chinuki Y, et al:Allergy 71:421, 2016
7) Hamsten C, et al:J Allergy Clin Immunol 132:1431, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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