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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

文献概要

症例報告

右母指有棘細胞癌の術後に臀部軟部肉腫と肺癌を併発した重複癌の1例

著者: 清水和栄1 横田憲二1 河野通浩1 秋山真志1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.1077 - P.1081

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要約 62歳,男性.5年前から右母指爪下痛が出現し,近医にて生検施行され有棘細胞癌と診断された.当科初診時,爪床に5mm大の紅色結節を認め,爪甲は変形隆起していた.ダーモスコピーでは,ほぼ全体が無構造な紅色領域で一部に毛細血管増生がみられた.全身検索では腋窩リンパ節腫大や他臓器転移は認めず,爪甲を含め全摘出術を施行した.術後6か月のCTにて右小臀筋内に腫瘤を認め,全摘出術を施行された.病理にてlow-grade fibromyxoid sarcomaの診断であった.皮膚有棘細胞癌術後2年6か月でのCTにて縦隔リンパ節腫大を認め,気管支鏡検査を施行した.病理では扁平上皮への分化を疑われる像であったが,免疫染色TTF-1が陽性であったことから肺原発の未分化癌と確定診断され,放射線照射および化学療法が施行された.癌術後の経過観察に際しては,重複癌の存在も意識することが望まれる.

参考文献

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9) 吉村康夫:信州医誌 60:67, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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