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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

文献概要

症例報告

胸腺腫と重症筋無力症の経過中に発症したKaposi肉腫の1例

著者: 相山明輝1 白井三由希1 清水久美子1 笹田佳江1 満間照之1

所属機関: 1一宮市立市民病院皮膚科

ページ範囲:P.1082 - P.1086

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要約 61歳,男性.2007年頃から嚥下困難や呂律の回りにくさがあり,2011年3月に当院神経内科で重症筋無力症,胸腺腫と診断を受けたが,通院を自己中断していた.2012年6月に重症筋無力症の悪化で再受診し,プレドニゾロン内服を開始するとともに,胸腺摘出術を施行した.その後プレドニゾロンを増量し,タクロリムスの内服を追加したところ,両足底に暗赤紫色調の結節が出現した.皮膚生検の結果からKaposi肉腫と診断した.2011年4月に胃潰瘍に対して上部消化管内視鏡で生検を行った際の病理組織からも,Kaposi肉腫の所見があったことが,後の検討で明らかとなった.本例におけるKaposi肉腫発症の原因として,血清IgG値が低値であり,胸腺腫に低γグロブリン血症を合併し免疫抑制状態にあった可能性を考えた.さらにその後のステロイドや免疫抑制剤の内服によって,増悪したのではと推察した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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