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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

症例報告

受傷後早期に血小板減少をきたし,経過中に著明なCK値の上昇を認めたマムシ咬傷の1例

著者: 森田知世1 信木晴菜1 栁瀬哲至1

所属機関: 1尾道総合病院皮膚科

ページ範囲:P.1093 - P.1097

文献概要

要約 27歳,男性.右アキレス腱部を何かに咬まれ,直後より呼吸困難感,冷汗,嘔気が出現し救急搬送された.右アキレス腱部に2か所の牙痕があったが周囲の腫脹は目立たなかった.来院時の血液検査で血小板数が0.6×104/μlと著明に減少し,血尿,血性嘔吐,眼瞼結膜出血などの症状を認めた.受傷2時間後にマムシ抗毒素血清6,000単位を投与し,2時間後には血小板数は17.8×104/μlに回復した.受傷8時間後からCK値,WBC数が徐々に上昇,全身の筋肉痛も出現し,受傷32時間後にはCK値は79,530U/lと著明に上昇した.腎保護目的に大量輸液を行い,合併症なく第16病日に退院した.「血小板減少型」マムシ咬傷は毒素が直接血管内に注入されることにより生じると考えられており,早期のマムシ抗毒素血清の投与が必要である.また,通常のマムシ咬傷と比較し局所所見が軽度であることが多く,受傷早期に正確に診断し,適切な治療を開始することが重要と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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