icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

文献概要

症例報告

ミノサイクリン塩酸塩・レボフロキサシン注射薬の併用が有効であった日本紅斑熱の1例

著者: 吉賀哲郎1 平島昌生1

所属機関: 1独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院皮膚科

ページ範囲:P.1099 - P.1104

文献購入ページに移動
要約 68歳,女性.初診1か月前から2日に一度の頻度で山に筍掘りに行っていた.初診3日前より39℃を超える発熱と倦怠感が出現し,初診1日前から軀幹・四肢に自覚症状のない爪甲大までの淡い紅斑が出現し,倦怠感が強く歩行困難となった.血液検査で血小板数が6.1×104/μlと低下し,肝機能障害を伴った.血液と右頸部の痂皮においてRickettsia japonica DNAが陽性で,Orientia tsutsugamushi DNA,SFTS virus RNAは陰性であり,日本紅斑熱と診断した.ミノサイクリン塩酸塩200mg/日の点滴加療をしたが,発熱が39℃を超え症状の改善がみられなかったため,入院3日目よりレボフロキサシンの点滴を併用したところ速やかに解熱し歩行可能な状態となった.重症化や難治化が疑われる症例では,早期からミノサイクリン塩酸塩・レボフロキサシン注射薬の併用も検討すべきと思われた.

参考文献

1) 馬原文彦:阿南医報 68:4, 1984
2) 馬原文彦:日医師会誌 132:146, 2004
3) 高垣謙二:日皮会誌 116:2247, 2006
4) 馬原文彦:医事新報 3968:28, 2000
5) 国立感染症研究所:病原微生物検出情報 20:211, 1999
6) 荒瀬誠治:最新皮膚科学大系,14巻,細菌・真菌性疾患,中山書店,p306, 2003
7) IASRによる感染症動向調査報告 27:27, 2006
8) 馬原文彦,他:感染症誌 89:490, 2015
9) 高垣謙二:日皮会誌 124:1739, 2014
10) 馬原文彦:生体の科学 66:313, 2015
11) Iwasaki H, et al:J Clin Microbiol 39:2341, 2001
12) 井上敏久,他:日内会誌 91:1320, 2002
13) Mahara F:Ann N Y Acad Sci 1078:60, 2006
14) 馬原文彦:病原微生物検出情報 27:37, 2006
15) 坂部茂俊,他:日内会誌 98:383, 2009
16) Tai K, et al:Transl Res 161:99, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?